・治療歴のある転移性去勢抵抗性前立腺がん患者が対象の第1/2相試験
・ジェブタナ+カルボプラチン併用療法の有効性・安全性を検証
・ジェブタナ単剤に対して、病勢進行または死亡のリスクを31%統計学的有意に改善
2019年9月9日、医学誌『The Lancet Oncology』にて治療歴のある転移性去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)患者に対するカバジタキセル(商品名ジェブタナ)+カルボプラチン併用療法の有効性、安全性を検証した第1/2相試験(NCT01505868)の結果がUniversity of Texas MD Anderson Cancer CenterのPaul G Corn氏らにより公表された。
本試験は、治療歴のある転移性去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)患者(N=160人)に対して21日を1サイクルとしてジェブタナ20–25mg/m2+カルボプラチンAUC 3–4mg/mL併用療法を投与する群(N=81人)、または21日を1サイクルとしてジェブタナ20–25mg/m2単剤療法を投与する群(N=79人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として第1相段階では最大耐用量(MTD)、第2相段階では無増悪生存期間(PFS)を比較検証したオープンラベルランダム化の第1/2相試験である。
本試験が実施された背景として、転移性去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)患者に対するタキサン系抗がん剤は併用療法により有効性がシングルアーム試験にて確認されているにも関わらず、ランダム化試験にてその有効性が確認されていないためである。以上の背景より本試験が開始された。
本試験の結果は下記の通りである。第I相段階における主要評価項目である最大耐用量(MTD)は用量制限毒性(DLT)を発症した患者が1人もいなかったため、ジェブタナ20–25mg/m2+カルボプラチンAUC 3–4mg/mLとして決定された。なお、グレード3の治療関連有害事象(TRAE)を発症した患者は貧血2人、疲労1人、血小板減少症1人、低マグネシウム血症1人、下痢1人、低カリウム血症1人、食欲不振1人、脱水症1人であり、グレード4の治療関連有害事象(TRAE)を発症した患者は1人もいなかった。
第2相段階における主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はジェブタナ+カルボプラチン併用群7.3ヶ月(95%信頼区間:5.5-8.2ヶ月)に対してジェブタナ群4.5ヶ月(95%信頼区間:3.5-5.7ヶ月)、ジェブタナ+カルボプラチン併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを31%統計学的有意に改善した(HR:0.69,95%信頼区間:0.50-0.95,P=0.018)。
一方の安全性としては、第2相段階で最も多くの患者で確認されたグレード3~5の治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。疲労はジェブタナ+カルボプラチン併用群20%(N=16人)に対してジェブタナ群9%(N=7人)、貧血はジェブタナ+カルボプラチン併用群23%(N=19人)に対してジェブタナ群4%(N=3人)、好中球減少症はジェブタナ+カルボプラチン併用群16%(N=13人)に対してジェブタナ群4%(N=3人)、血小板減少性はジェブタナ+カルボプラチン併用群14%(N=11人)に対してジェブタナ群1%(N=1人)。なお、治療関連有害事象(TRAE)による死亡は1人の患者も確認されなかった。
以上の第1/2相試験の結果よりPaul G Corn氏らは以下のように結論を述べている。”治療歴のある転移性去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)患者に対するジェブタナ+カルボプラチン併用療法は、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善しました。また、治療関連有害事象(TRAE)発症率は単剤療法に比べて併用療法で多くの患者で発症しましたが、忍容性は良好でした。”