・複数治療歴のある進行再発難治性セザリー症候群を含む菌状息肉症患者を対象とした第2相試験
・キイトルーダ単剤療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率は38%を示し、効果が持続
2019年9月18日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて複数治療歴のある進行再発難治性セザリー症候群(Sézary syndrome)を含む菌状息肉症(Mycosis fungoides)患者に対する抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のCITN-10試験(NCT02243579)の結果がStanford UniversityのMichael S. Khodadoust氏らにより公表された。
CITN-10試験とは、複数治療歴のある進行再発難治性セザリー症候群を含む菌状息肉症患者(N=24人)に対して3週を1サイクルとしてキイトルーダ2mg/kg単剤療法を最大24ヶ月投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)を検証した多施設共同シングルアームの第2相試験である。
本試験が実施された背景として、皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)の中でセザリー症候群(Sézary syndrome)、菌状息肉症(Mycosis fungoides)は最も患者の多い疾患であるが、進行期の予後は非常に不良である。また、全身療法の多くは客観的奏効率(ORR)50%以下であり、新たな治療選択肢が必要とされている。
以上の背景より、他の癌腫でその効果が示されており、皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)においてPD-L1の発現が確認されていることから、抗PD-1抗体薬であるキイトルーダの有用性を確認する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。
年齢中央値
66.9歳(44-85歳)
性別
男性75%
女性25%
疾患の種類
菌状息肉症(Mycosis fungoides)=38%
セザリー症候群(Sézary syndrome)=62%
進行病期
ステージIB=4%
ステージIIB=8%
ステージIIIA=8%
ステージIIIB=12%
ステージIVA=67%
前治療歴
1-2レジメン=21%
3レジメン=17%
4レジメン=21%
5-6レジメン=21%
7レジメン=21%
PD-L1発現率
30%以下=54%
31-60%=29%
61%以上=17%
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は38%を示し、その奏効率の内訳は完全奏効(CR)2人、部分奏効(PR)7人であった。また、奏効が確認された9人の内6人の患者で90%以上の皮膚障害の改善が確認された。なお、奏効持続期間(DOR)中央値は未到達であった。
一方の安全性として、グレード4または5の免疫関連有害事象(irAE)の発症は確認されなかったが、全グレードの免疫関連有害事象(irAE)は9人の患者で11件確認された。その内訳としては、グレード1または2の皮膚障害が6件、関節炎が2件、肺炎が1件、大腸炎が1件、AST上昇が1件、グレード3の皮膚障害が4件、関節炎が1件、肺炎が1件、大腸炎が1件、AST上昇が1件、角膜潰瘍が1件であった。
以上のCITN-10試験の結果よりMichael S. Khodadoust氏らは以下のように結論を述べている。”複数治療歴のある進行再発難治性セザリー症候群を含む菌状息肉症患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法は、高い客観的奏効率(ORR)を示し、その効果が持続的であることが示されました。”