・複数治療歴のあるRET遺伝子変異陽性の甲状腺がんまたは甲状腺髄様がん患者が対象の第1/2相試験のコホート解析
・経口選択的RET阻害薬Selpercatinib単剤療法の有効性・安全性を検証
・忍容性に問題はなく、客観的奏効率は甲状腺がん患者群で62%、甲状腺髄様がん患者群で56%と良好
2019年9月27日より10月1日まで、スペイン/バルセロナで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2019)にて、複数治療歴のある固形がん患者に対する経口選択的RET阻害薬であるSelpercatinib(LOXO-292)単剤療法の有効性、安全性を検証した第1/2相のThe LIBRETTO-001試験(NCT03157128)のRET遺伝子変異陽性の甲状腺がんまたは甲状腺髄様がんコーホート解析の結果がMassachusetts General Hospital in BostonのLori J. Wirth氏らにより公表された。
The LIBRETTO-001試験とは、複数治療歴のある固形がん患者に対してSelpercatinib(LOXO-292)単剤療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した第1/2相試験である。
本試験の初回解析の結果、甲状腺がん患者群(N=26人)における主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は62%(95%信頼区間:41%-80%)、甲状腺髄様がん患者群(N=226人)における主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は56%(95%信頼区間:42%-70%)を示した。
一方の安全性として、他の癌種も含めSelpercatinib(LOXO-292)単剤療法により15%以上の患者で発現が確認された有害事象(AE)は口渇、下痢、高血圧、ALT上昇、AST上昇であり、有害事象のほとんどはグレード1および2であった。なお、治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率は1.7%(N=9人)の患者で確認された。
以上のThe LIBRETTO-001試験の結果より、Massachusetts General Hospital in Boston・Lori J. Wirth氏らは以下のように結論を述べている。”複数治療歴のあるRET遺伝子変異陽性の甲状腺がんまたは甲状腺髄様がん患者に対するSelpercatinib(LOXO-292)単剤療法は、良好な客観的奏効率(ORR)を示し、忍容性も問題ありませんでした。”