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CAR-T細胞製品アキシカブタジン シロルーセル、再発・難治性のB細胞リンパ腫への再生医療等製品製造販売承認を申請

2020年3月30日、第一三共株式会社は、Axi-Cel、CD19を標的とするキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)*1製品(商品名:axicabtagene ciloleucel*2、参考字訳:アキシカブタジン シロルーセル)について、再発又は難治性のB細胞リンパ腫に係る再生医療等製品製造販売承認申請を日本国内で行ったことを発表した。

同社は、2017年1月にギリアド・サイエンシズの子会社であるKite Pharma, Inc.(以下、カイト社)から、同製品の国内における開発、製造及び販売の独占的権利を取得した。

今回の申請は、カイト社が実施したグローバル第1/2相臨床試験(ZUMA-1試験)および再発又は難治性のB細胞リンパ腫を対象に当社が実施した国内第2相臨床試験の結果に基づくものである。

国内第2相臨床試験は主要評価項目である客観的奏効率*3の達成基準を満たしており、試験結果の詳細は今後、学会等にて公表する予定。

なお、同製品は、厚生労働省より、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、形質転換濾胞性リンパ腫(TFL)および高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)*4を対象として希少疾病用再生医療等製品指定*5を受けている。

参照

*1:キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)療法とは血液から分離したT細胞に、特定のがん細胞表面に発現している抗原に対する攻撃能を高めるためにキメラ抗原受容体の遺伝子を導入し、改変T細胞を拡大培養した後に患者体内に注入する細胞治療法。

*2:axicabtagene ciloleucelの参考字訳:アキシカブタジン シロルーセル

*3:客観的奏効率とは、完全奏効及び部分奏効の患者の割合を指す。完全奏効とは、治療前に存在したすべての病変(リンパ節の腫大など)及び腫瘍による症状・所見が消失し、かつ新病変の出現がない状。部分奏効とは、治療前に規定した主要病変が50%以上縮小し、かつ新病変がない状態。

*4:DLBCLおよびPMBCLは、大型の腫瘍細胞がびまん性増殖を示す、リンパ球の中のB細胞から発生する非ホジキンリンパ腫。TFLは低悪性度リンパ腫である濾胞性リンパ腫が中悪性度リンパ腫であるDLBCLに形質転換したもので、形質転換の頻度は年間2~3%と報告されている。HGBLは進行が極めて早いB細胞リンパ腫。

*5:希少疾病用再生医療等製品指定とは、医薬品医療機器等法第77条の2に基づき、対象患者数が国内において5万人未満であること、医療上特にその必要性が高いものなどの条件に合致するものとして、薬事・食品衛生審議会の意見を参考にして、厚生労働大臣が指定する制度。医療上の必要性が高いにもかかわらず、患者数が少ないことにより、国内では十分にその研究開発が進んでいない状況を踏まえ、安全かつ良質な医薬品・医療機器・再生医療等製品を一日も早く医療の現場に提供することを目的に、開発を支援・促進する制度。また、税制措置、再審査期間の延長等の支援措置も受けられる。

参照元:
第一三共株式会社ニュースリリース

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