・相同組換え修復に関連遺伝子変異陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がん患者が対象の第3相試験
・PARP阻害薬リムパーザ単剤療法の有効性・安全性を比較検証証
・全生存期間はザイティガもしくはイクスタンジ単剤群に比べてリムパーザ単剤群で統計学有意に改善
2020年4月24日、英アストラゼネカ社プレスリリースにて新規ホルモン薬による治療歴のある進行がんで、かつBRCA1/2、ATM、CDK12などの相同組換え修復(HRR)に関連遺伝子変異陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者に対するポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬であるオラパリブ(商品名リムパーザ;以下リムパーザ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のPROfound試験の副次評価項目である全生存期間(OS)の結果が公表された。
PROfound試験とは、新規ホルモン薬による治療歴のある進行がんで、かつBRCA1/2、ATM、CDK12などの相同組換え修復(HRR)に関連遺伝子変異陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者に対してリムパーザ単剤療法を投与する群、またはアビラテロン(製品名:ザイティガ)もしくはエンザルタミド(製品名:イクスタンジ)単剤療法を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として画像診断に基づく無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)を比較検証した前向き多施設共同無作為化非盲検の第3相試験である。
本試験が開始された背景として、進行性前立腺がん患者の内、約10~20%は5年以内で去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)へと進行する。また、そのうち84%の患者はCPRC診断時に転移を有しており、転移のない患者であっても、その内33%が2年以内に転移を発現する。近年、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対する治療選択肢は増えているが、依然として5年全生存率(OS)は低率である。以上の背景より、PROfound試験が開始された。
本試験の結果、副次評価項目である全生存期間(OS)はザイティガもしくはイクスタンジ単剤群に比べてリムパーザ単剤群で統計学有意に改善することが示された。なお、主要評価項目である画像診断に基づく無増悪生存期間(PFS)もリムパーザ単剤群で統計学有意に改善することが2019年夏に示されている。本試験で新たに確認された有害事象(AE)はなく、既存の臨床試験で確認されているリムパーザの安全性プロファイルと一致していた。
以上のPROfound試験の副次評価項目達成の結果より、アストラゼネカ社のOncology R&D・Executive Vice PresidentであるJosé Baselga氏は以下のようにコメントを述べている。”転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者さんの全生存期間(OS)は不良です。本試験より、リムパーザが全生存期間(OS)を臨床的意義ある改善示したことを非常に喜ばしく思い、本試験の結果に基づき相同組換え修復(HRR)転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)の新しい効能で米国食品医薬品局 (FDA)をはじめ各国の機関と協議を進めていきます。”
参照元:
英アストラゼネカ社 プレスリリース