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卵巣がんに対するmirvetuximab soravtansine+ベバシズマブ併用療法、客観的奏効率47%を示す

この記事の3つのポイント
・プラチナ系抗がん剤感受性の有無を問わない卵巣がん患者が対象の第1/2相試験
・mirvetuximab soravtansine+ベバシズマブ併用療法の安全性忍容性を検証
・客観的奏効率は全患者で47%、葉酸受容体α(FRα)高発現患者で61%を示した

2020年5月29日~31日、バーチャルミーティングで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2020)にてプラチナ系抗がん剤感受性の有無を問わない卵巣がん患者に対する抗葉酸受容体α(FRα)抗体薬物複合体(ADC)であるmirvetuximab soravtansine+血管内皮細胞増殖因子VEGFモノクローナル抗体であるベバシズマブ併用療法の安全性、忍容性を検証した第1/2相試験(NCT02606305)の結果がMcGill University Health CentreのLucy Gilbert氏らにより公表された。

本試験は、プラチナ系抗がん剤感受性の有無を問わない卵巣がん患者に対して21日を1サイクルとして1日目にmirvetuximab soravtansine 6mg/kg+ベバシズマブ15mg/kgを投与し、安全性、忍容性を検証した第1/2相試験である。

後期第1相 FORWARD II試験の一部でmirvetuximab soravtansineはプラチナ抵抗性卵巣がんに対してFRα高発現群で客観的奏効率(ORR)24~47%、FRα中等度発現/高発現群で39~56%と高い有効性が示すことが確認された背景があり、本試験が開始された。

本試験に登録された60人の患者の年齢中央値は60歳(44-83歳)。卵巣がんの種類は上皮性卵巣がん68%、卵管がん25%、原発性腹膜がん7%。ECOGパフォーマンスステータスはスコア0が75%、スコア1が25%。前治療歴中央値は2レジメン(1-4レジメン)、内訳は1レジメンが33%、2レジメンが37%、3レジメン以上が30%。前治療歴の種類はプラチナ系抗がん剤100%、タキサン系抗がん剤98%、ベバシズマブ40%、PARP阻害薬32%。プラチナ系抗がん剤の治療フリー期間6ヶ月以内53%、6~12ヶ月以内33%、12ヶ月以上13%。

結果は客観的奏効率(ORR)が47%(N=28人)。FRα高発現群(N=33人)の客観的奏効率(ORR)では61%、プラチナ抵抗性は59%、プラチナ感受性は69%を示した。

一方、有害事象(AE)発現率は次の通りである。多くの患者で確認された全グレード有害事象(AE)では下痢68%、霧視63%、疲労58%、悪心55%、末梢神経障害43%、角膜症43%。グレード3~4の有害事象(AE)では高血圧12%、好中球減少症10%、疲労5%、ドライアイ5%、ALT増加5%。なお、治療関連有害事象(TRAE)により22%の患者が治療中止に至った。

第1/2相試験の結果よりLucy Gilbert氏らは「プラチナ系抗がん剤感受性の有無を問わない卵巣がん患者に対する抗葉酸受容体α(FRα)抗体薬物複合体(ADC)mirvetuximab soravtansine+ベバシズマブ併用療法は、客観的奏効率(ORR)64%を示し、特にFRα高発現患者に対して高い抗腫瘍効果を示しました。また、観察された有害事象(AE)も管理可能なものでした」と結論を述べている。

Mirvetuximab soravtansine, a folate receptor alpha (FRα)-targeting antibody-drug conjugate (ADC), in combination with bevacizumab in patients (pts) with platinum-agnostic ovarian cancer.(2020 ASCO Virtual Scientific Program,Abstract No:6004)

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