・HR陽性HER2陰性早期乳がん患者が対象の第3相試験
・ベージニオ+標準ホルモン療法の有効性・安全性を検証
・無浸潤疾患生存期間は標準ホルモン療法のみと比較してベージニオ併用群で有意に改善
2020年6月16日、イーライリリー社プレスリリースにてハイリスクのホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性早期乳がん患者に対するCD4/6阻害薬であるアベマシクリブ(商品名ベージニオ;以下ベージニオ)+標準ホルモン療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のmonarchE試験の結果が公表された。
monarchE試験とは、ハイリスクのHR陽性HER2陰性早期乳がん患者(N=5637人)を1日2回ベージニオ150mg+標準ホルモン療法を投与する群と標準ホルモン療法のみを投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無浸潤疾患生存期間(iDFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、安全性などを比較検証した国際多施設共同の第3相試験である。なお、ベージニオは最大2年間、標準ホルモン療法は少なくとも5年間、予期せぬ有害事象(AE)が発現しない場合には治療継続がされる。
ハイリスクのHR陽性HER2陰性早期乳がん患者の約30%は再発し、初期段階で診断されても再発した場合は不治になる可能性もあるため新しい治療選択肢の開発が必要とされていた。そのような背景によりmonarchE試験が開始された。
本試験の結果、主要評価項目である無浸潤疾患生存期間(iDFS)は標準ホルモン療法に比べてベージニオ+標準ホルモン療法群で統計学的有意に改善することが示された。一方の安全性に関して、既存の臨床試験で確認されているベージニオの安全性プロファイと一致しており、新たに確認された有害事象(AE)はなかった。
monarchE試験の結果についてイーライリリー社のMaura Dickler氏は「ハイリスクのHR陽性HER2陰性早期乳がん患者さんの治療目標は再発を防止することです。ベージニオは本患者さんに対して無浸潤疾患生存期間(iDFS)を現在の標準治療に比べて統計学有意に改善しましたので、新しい治療選択肢になり得る可能性が本試験より示唆されました」と述べている。
参照元:
米国イーライ・リリー プレスリリース