・新規多発性骨髄腫患者が対象の第3相試験
・カイプロリス+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法の有効性・安全性を検証
・ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法に比べて、無増悪生存期間の統計学有意な差は確認されず
2020年5月29日~31日、バーチャルミーティングで開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO 2020)にて新規多発性骨髄腫患者に対するプロテアソーム阻害薬であるカルフィルゾミブ(商品名カイプロリス;以下カイプロリス)+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法(KRd)を標準療法と比較し、有効性、安全性を検証した第3相のENDURANCE試験(NCT01863550)の結果がMayo Clinic・Shaji Kumar氏らにより公表された。
ENDURANCE試験とは、新規多発性骨髄腫患者に対してカイプロリス+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法を投与し、その後維持療法としてレナリドミド単剤療法を投与する群とボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法(VRⅾ)を投与し、その後維持療法としてレナリドミド単剤療法を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを比較検証した第3相試験である。
新規多発性骨髄腫患者に対してボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法は標準治療の1つとして推奨されているが、次世代プロテアソーム阻害薬であるカイプロリスは、ボルテゾミブに比べて抗腫瘍効果が高い可能性が他の臨床試験で示唆されている。以上の背景より、ENDURANCE試験が開始された。
本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はカイプロリス+レナリドミド+デキサメタゾン群34.6ヵ月に対してボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン群34.4ヵ月、両郡間で統計学有意な差は確認されなかった(HR:1.04,95%信頼区間:0.8-1.3,P=0.74)。
また、もう1つの主要評価項目である3年全生存率(OS)はカイプロリス+レナリドミド+デキサメタゾン群86%(95%信頼区間:82%-89%)に対してボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン群84%(95%信頼区間:80%-88%)を示した。
副次評価項目である客観的奏効率(ORR)の内訳はカイプロリス+レナリドミド+デキサメタゾン群で部分奏効率(PR)86%、最良部分奏効率(VGPR)49%、完全奏効率(CR)14%、ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン群で部分奏効率(PR)83%、最良部分奏効率(VGPR)43%、完全奏効率(CR)10%を示した。
ENDURANCE試験の結果よりShaji Kumar氏らは「新規多発性骨髄腫患者に対するプロテアソーム阻害薬カイプロリス+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法は、現在の標準治療であるボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾンに比べて無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善しませんでした」と結論を述べている。