7月2日、第一三共株式会社(以下第一三共)は手術不能の進行・転移性トリプルネガティブ乳がん患者に対し、DS-1062の第1相臨床試験(NCT03401385)で最初の投与を開始したと発表した。
DS-1062は、第一三共より3番目に臨床開発段階に進んだTROP2に対する抗体薬物複合体(ADC)である。ADCとは抗体医薬と低分子医薬を適切なリンカーを介して結合させた医薬群であり、がん細胞に発現している標的因子と結合する抗体医薬によって直接がん細胞へ薬物を届ける。それにより、全身の薬剤曝露を軽減しながらがん細胞への攻撃を増強させる。(参照元:第一三共株式会社 2018年2月23日ニュースリリース)
TROP2はトリプルネガティブ乳がんや非小細胞肺がんを含むいくつかの固形がんに発現するタンパク質であり、がんの進行や生存率の低下に関係していると言われている。
同試験は、2018年2月より手術不能の進行・転移性非小細胞肺がん患者を対象に日米で行われており、今回、新たにトリプルネガティブ乳がんの患者を追加した。今後、約40名を登録し安全性と有効性を検証する予定である。
第一三共は「複数の固形がん(非小細胞肺がん、トリプルネガティブ乳がん等)での試験や他剤との併用療法試験も積極的に進めていくことで、本剤の価値を最大化し、がん患者さんのアンメット・メディカル・ニーズの充足に取り組んでまいります」と述べている。
トリプルネガティブ乳がんとは
エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、HER2の3つが陰性であることをトリプルネガティブという。乳がんの約10~20%がトリプルネガティブであると言われている。治療法が限られている上に、他のタイプの乳がんと比較して、初回化学療法後の再発率が高く、効果的な治療法を期待されている。
参照元:
第一三共株式会社 ニュースリリース