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PTENタンパク欠損の転移性去勢抵抗性前立腺がんに対するイパタセルチブ+ザイティガ+プレドニゾロン併用療法、無増悪生存期間を改善

この記事の3つのポイント
・無症候性/軽度の症状を有する未治療の転移性去勢抵抗性前立腺がん患者が対象の第3相試験
・イパタセルチブ+ザイティガ+プレドニゾロン併用療法併用療法の有効性安全性を比較検証
・PTENタンパク欠損を有する患者群において、無増悪生存期間18.5ヶ月を示した

2020年9月19日~2020年9月21日、バーチャルミーティングにて開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)にて無症候性または軽度の症状を有する未治療の転移性去勢抵抗性前立腺がん患者に対するAKT阻害薬であるイパタセルチブ+CYP17阻害薬であるザイティガ(一般名:アビラテロン、以下ザイティガ)+プレドニゾロン併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のIPATential150試験(NCT03072238)の結果がThe Institute of Cancer Research and the Royal Marsden HospitalのJohann de Bono氏らにより公表された。

IPATential150試験は、無症候性または軽度の症状を有する未治療の転移性去勢抵抗性前立腺がん患者(N=1,101人)を1日1回イパタセルチブ400mg+1日1回ザイティガ1,000mg+1日2回プレドニゾロン5mg併用療法を投与する群(N=547人)、またはプラセボ+1日1回ザイティガ1,000mg+1日2回プレドニゾロン5mg併用療法を投与する群(N=554人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目はPTENタンパク欠損を有する患者群とITT集団における画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)とした。

本試験のフォローアップ期間中央値19ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目であるPTENタンパク欠損を有する患者群における画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)中央値はイパタセルチブ群18.5ヶ月(95%信頼区間:16.3-22.1ヶ月)に対してプラセボ群16.5ヶ月(95%信頼区間:13.9-17.0ヶ月)を示し、イパタセルチブ群で画像診断に基づく病勢進行または死亡(rPFS)のリスクを23%(HR:0.77、95%信頼区間:0.61-0.98、P=0.0335)統計学的有意に改善した。

もう1つの主要評価項目であるITT集団における画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)中央値はイパタセルチブ群19.2ヶ月(95%信頼区間:16.5-22.3ヶ月)に対してプラセボ群16.6ヶ月(95%信頼区間:15.6-19.1ヶ月)を示し、イパタセルチブ+ザイティガ+プレドニゾロン群で画像診断に基づく病勢進行または死亡(rPFS)のリスクを16%(HR:0.77、95%信頼区間:0.71-0.99、P=0.0431)減少した。

一方の安全性として、重篤な有害事象(SAE)発症率はイパタセルチブ群40%に対してプラセボ群23%。有害事象(AE)による治療中止率はイパタセルチブ群21%に対してプラセボ群5%を示した。

以上のIPATential150試験の結果よりJohann de Bono氏らは「無症候性または軽度の症状を有する未治療の転移性去勢抵抗性前立腺がん患者に対するAKT阻害薬イパタセルチブ+CYP17阻害薬ザイティガ+プレドニゾロン併用療法はPTENタンパク欠損を有する患者群における画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)を統計学的有意に改善しましたが、ITT集団では有意な改善を示せませんでした」と結論を述べている。

IPATential150: Phase III study of ipatasertib (ipat) plus abiraterone (abi) vs placebo (pbo) plus abi in metastatic castration-resistant prostate cancer (mCRPC)(ESMO Virtual Congress 2020,Abstract No: LBA4)

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