2020年12月5日~8日、オンラインミーティングで開催された第62回米国血液学会議(ASH 2020)にて治療歴のある再発難治性芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)患者に対するCD123標的抗体薬物複合体(ADC)であるIMGN632単剤療法の有効性、安全性を検証した臨床試験の結果がThe University of Texas MD Anderson Cancer CenterのNaveen Pemmaraju氏らにより公表された。
本試験は、再発難治性芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)患者に対して21日を1サイクルとして1日目にIMGN632を0.045mg/kg単剤療法を投与し、有害事象(AE)発症率、客観的奏効率(ORR)などを検証した臨床試験である。
本試験が開始された背景として、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)は造血器腫瘍の中でも病勢進行が急速であり、予後も不良であるにも関わらず治療選択肢が限られている。また、近年、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)の治療薬としてtagraxofusp-erzs(タグラクソフスプ)が承認されたにも関わらず治療成績は不十分である。以上の背景よりCD123標的抗体薬物複合体(ADC)であるIMGN632単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された23人の患者の年齢中央値は73歳(19-82歳)。性別は男性が74%。前治療歴2レジメン以上は52%であり、前治療歴の種類はHyperCVAD, FLAG, CHOPなどの化学療法が52%。同種造血幹細胞移植が22%であった。また、43%はtagraxofusp-erzsを既に投与されていた。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
最も多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)は吐き気35%、末梢性浮腫26%、インフュージョンリアクション22%。なお、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は1人の患者でも確認されていない。グレード3以上の有害事象(AE)としてはLFT異常、好中球減少症、血小板減少症がそれぞれ1人の患者で確認された。
客観的奏効率(ORR)は30%(95%信頼区間:13-53%)、23人のうち7人の患者で確認され、奏効の内訳は完全奏効(CR)2人、複合完全寛解(CRc)2人、血小板未回復の完全寛解(CRi)1人、部分奏効(PR)2人である。
以上の臨床試験の結果よりNaveen Pemmaraju氏らは「再発難治性芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)患者に対するCD123標的抗体薬物複合体(ADC)IMGN632単剤療法は、完全奏効(CR)2人、複合完全寛解(CRc)2人を含む客観的奏効率(ORR)30%を示し、忍容性も良好でした」と結論を述べている。