2020年12月5日~8日、オンラインミーティングで開催された第62回米国血液学会議(ASH 2020)にて治療歴のあるALアミロイドーシス患者に対する抗CD38抗体であるサークリサ(一般名:イサツキシマブ、以下サークリサ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT03499808)の結果がYale University School of MedicineのTerri L. Parker氏らにより公表された。
本試験は、治療歴のあるALアミロイドーシス患者に対して1サイクル目は1週間ごとに4回(1、8、15、22日目)、2サイクル目以降は2週間ごとに2回(1、15日目)サークリサ20mg/kg単剤療法を投与し、主要評価項目として血液学的客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として臓器効果(Organ response)、安全性、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した多施設共同前向き第2相試験である。
本試験に登録された43人のうち36人が評価対象となった。対象患者の年齢中央値は70歳(40-81歳)。前治療歴の種類はプロテアソーム阻害薬89%(N=32人)、大量化学療法/造血幹細胞移植47%(N=17人)、免疫調整薬25%(N=9人)、抗CD38抗体6%(N=2人)。臓器障害に関しては、1カ所の臓器障害を有する群53%(N=19人)、2カ所以上の臓器障害を有する群47%(N=17人)、腎障害を有する群44%(N=16人)、心障害を有する群67%(N=24人)。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
最も多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)はインフュージョンリアクション50%(N=18人)、貧血25%(N=9人)、リンパ球減少症22%(N=8人)。
主要評価項目である血液学的客観的奏効率(ORR)は77%、奏効の内訳は完全奏効率(CR)3%(N=1人)、最良部分奏効率(VGPR)54%(N=19人)、部分奏効率(PR)20%(N=7人)を示した。
以上の第2相試験の結果よりTerri L. Parker氏らは「治療歴のあるALアミロイドーシス患者に対する抗CD38抗体サークリサ単剤療法は、臨床的に期待のできる抗腫瘍効果を示した。また、他のモノクローナル抗体同様に、ALアミロイドーシスに対するサークリサは忍容性も良好でした」と結論を述べている。