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再発/転移性扁平上皮頭頸部がんに対するモナリズマブ+セツキシマブ併用療法、客観的奏効率18.6%を示す

この記事の3つのポイント
・プラチナ化学療法、抗PD-1/PD-L1抗体薬後の再発/転移性扁平上皮頭頸部がん患者が対象の第1/2相試験
・モナリズマブ+セツキシマブ併用療法併用療法の有効性安全性を検証
・客観的奏効率は全患者では18.6%、プラチナ製剤+抗PD-1/PD-L1抗体薬治療後で20.0%を示す

2020年12月9日~12日に開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO Immuno Oncology)にてプラチナ化学療法、抗PD-1/PD-L1抗体薬後の再発/転移性扁平上皮頭頸部がん(SCCHN)患者に対するヒト化抗NKG2A抗体であるモナリズマブ+抗EGFR抗体薬であるセツキシマブ併用療法の有効性、安全性を検証した第1/2相試験(NCT02643550)の結果がCentre Léon BérardのJérome Fayette氏らにより公表された。

本試験は、プラチナ化学療法後の再発/転移性扁平上皮頭頸部がん(SCCHN)患者に対して2週間ごとにモナリズマブ750mg+標準用量のセツキシマブ併用療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)を検証した国際多施設共同非ランダム化の第1/2相試験である。なお、本試験は複数コホートに分かれており、コホート1は前治療歴としてプラチナ化学療法±抗PD-1/PD-L1抗体薬、コホート2は前治療歴としてプラチナ化学療法+抗PD-1/PD-L1抗体薬を受けた患者における解析である。

本試験が開始された背景として、プラチナ化学療法、抗PD-1抗体薬治療後の再発/転移性扁平上皮頭頸部がん(SCCHN)患者に対して臨床的期待のできる抗腫瘍効果を示した治療選択肢は存在しない。NKG2Aは腫瘍浸潤細胞毒性T細胞、ナチュラルキラー細胞に発現するチェックポイント阻害剤で、これら細胞の抗腫瘍機能を阻害するため抗NKG2A抗体であるモナリズマブの抗腫瘍効果が期待できる。以上の背景より、再発/転移性扁平上皮頭頸部がん(SCCHN)患者に対するヒト化抗NKG2A抗体であるモナリズマブ+抗EGFR抗体薬であるセツキシマブ併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験に登録された59人(コホート1:19人、コホート2:40人)の患者に対する結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)はコホート2で20%(95%信頼区間:11-35%)、コホート1+2で18.6%(95%信頼区間:11-30%)を示した。また、奏効持続期間(DOR中央値はコホート2で5.2ヵ月(95%信頼区間:3.9ヵ月-未到達)、コホート1+2で5.6ヵ月(95%信頼区間:3.9ヵ月-未到達)を示した。

副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はコホート2で3.4ヵ月(95%信頼区間:1.8-5.3ヵ月)、コホート1+2で3.5ヵ月(95%信頼区間:2.7-5.3ヵ月)を示した。全生存期間(OS)中央値はコホート2で8.3ヵ月(95%信頼区間:7.3-12.4ヵ月)、コホート1+2で10.1ヵ月(95%信頼区間:8-16.5ヵ月)を示した。6ヵ月全生存率(OS)はコホート2で80% (95%信頼区間:69-93%)、コホート1+2で81%(95%信頼区間:72-92%)を示した。

以上の第1/2相試験の結果よりJérome Fayette氏ら「プラチナ化学療法、抗PD-1/PD-L1抗体薬後の再発/転移性扁平上皮頭頸部がん(SCCHN)患者さんに対するヒト化抗NKG2A抗体モナリズマブ+抗EGFR抗体薬セツキシマブ併用療法は、期待のできる抗腫瘍効果を示しました。本試験の結果に基づいて、セツキシマブ単剤療法と本治療の有効性を比較検証する第3相試験の準備が進められております」と結論を述べている。

Monalizumab in combination with cetuximab post platinum and anti-PD-(L)1 in patients with recurrent/metastatic squamous cell carcinoma of the head and neck (R/M SCCHN): Updated results from a phase II trial(ESMO Immuno-Oncology Virtual Congress 2020,Abstract 81P)

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