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【オンコロメルマガ】がん臨床試験に対する意識調査、臨床試験学会誌に掲載[vol.195]

オンコロの可知です。

私のメルマガ担当は今年初めてとなりますが、遅ばせながら、明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

さて、ずいぶん昔ですが、2016年にがん患者、ご家族、医療者、製薬企業関連の方、計2,102名を対象に「がんの臨床試験に対する意識調査」を行いました。

https://oncolo.jp/research-results/20161129

この結果は、2016年の臨床腫瘍学会にて大橋靖雄先生(現、中央大学)が発表され、2017年の臨床試験学会にて仕子優樹先生(現、中央大学)が患者さんにフォーカスした発表を致しました。

今回、臨床試験学会誌に「がん臨床試験に対するイメージと試験関連情報へのアクセス—がん臨床試験に対する意識調査による検討—」テーマで掲載されましたので、その一部を紹介したいと思います。

この調査を行った背景は「がん臨床試験および治験の実施において、対象者の確保は大きな課題の1つである」となります。

海外の研究によれば、臨床試験のうち、31%は目標症例数以上を確保できているが、24%が目標症例数の80%以上、45%は目標症例数の80%以下であった事が報告されており、こうした対象者の不足は、試験の検出力を低下させ、試験結果の信頼性を下げる事につながっています。

このように実際に試験に参加する対象者の確保が難しい現状があるにも関わらず、がんの臨床試験への参加を希望する患者数は、少ないわけではありません。

2016年に行った上記の調査では、がん患者のおよそ80%が臨床試験(治験)の情報を知りたいと回答しており、そのうち半数が診断されて最初の治療選択の際に情報を知りたいと回答していることが明らかになっています。

今回の論文では、この内容を統計学的手法を用いて臨床試験参加者の確保に対する解決策を検討するため、上述の「がん臨床研究に対する意識調査」のデータを用いて臨床試験の情報提供に対する考えを中心に、分析を行うことにしました。

この分析にて、以下の2つが明らかになったといえます。

1.臨床試験に対するイメージにおいては、「社会貢献性がある」、「最先端の治療が受けられる」、「治療選択肢の1つである」のように、臨床試験に対して利益を感じている人ほど、また安全性に不安を感じていない人ほど、臨床試験の情報を必要としていました。

2.臨床試験のイメージについては、患者は、治療手段がなくなってきた場合の「最終的な手段」というイメージを持っているのに対して、患者以外の対象では、「最先端」、「治療費負担を軽減できる」など、治験参加によって得られるメリットを認識しており、両者で臨床試験に対する認識に違いが見られました。

3.「年齢」が、がん臨床試験へのイメージの良し悪しを決めるファクターとなっていることがわかりました。例えば、20代では臨床試験について「積極的」かつ「科学的」にとらえている一方、70代では「慎重的」かつ「感覚的」捉えていました。

以上、論文概要です。

オンコロを開設した2015年当時よりも、がんの臨床試験(治験)の情報へのアクセスは非常によくなりました。ただし、臨床試験(治験)の参加を検討する場合は、最終手段となってからでは遅すぎるとも思います。

臨床試験(治験)への参加を強くすすめるわけではありませんが、臨床試験参加を見据える場合は、より早期に検討を始めることが重要と思います。

その際の力になることが、我々のミッションだと思っています。

可知 健太

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