・線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)2b陽性切除不能局所進行性/転移性の胃・胃食道接合部腺がん患者が対象の第2相試験
・ベマリツズマブ+mFOLFOX6併用療法の有効性・安全性を比較検証
・無増悪生存期間9.5ヶ月であり、プラセボ+mFOLFOX6群7.4ヶ月に対して改善を示した
2021年1月15日~17日、オンラインミーティングで開催された2021 Gastrointestinal Cancers Symposium(ASCO GI 2021)にて線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)2b陽性切除不能局所進行性/転移性の胃・胃食道接合部腺がん患者に対するファーストライン治療としての線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)2b阻害抗体であるベマリツズマブ+mFOLFOX6の有効性、安全性を比較検証した第2相試験の結果がUCLA Jonsson Comprehensive Cancer CenterのZev A. Wainberg氏らにより公表された。
本試験は、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)2b陽性の切除不能局所進行性/転移性の胃・胃食道接合部腺がん患者(N=155人)を対象にファーストライン治療として、2週を1サイクルとしてベマリツズマブ15mg/kg+mFOLFOX6併用療法群(N=77人)とプラセボ+mFOLFOX6併用療法群(N=78人)に無作為に振り分け、それぞれ病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与した。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS) 、重要な副次評価項目は全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)、有害事象(AE)発症率としてベマリツズマブとプラセボを比較検証した国際多施設共同二重盲検の第2相試験である。
本試験が開始された背景として、第1相試験にて難治性胃がん患者に対するFGF受容体2b(FGFR2b)阻害抗体ベマリツズマブ単剤療法は用量制限毒性(DLT)の発現がなく、客観的奏効率(ORR)を18%改善する効果を示した。切除不能局所進行性/転移性の胃・胃食道接合部腺がん患者に対するファーストライン治療としてのベマリツズマブ+mFOLFOX6併用療法の有効性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験の結果、主要評価項目である主治医評価の無増悪生存期間(PFS)中央値はベマリツズマブ+mFOLFOX6併用群の9.5ヶ月に対してプラセボ+mFOLFOX6併用群で7.4ヶ月と、ベマリツズマブ+mFOLFOX6併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを32%減少(HR:0.68、95%信頼区間:0.44-1.04、P=0.07)した。
重要な副次評価項目である全生存期間(OS)中央値はベマリツズマブ+mFOLFOX6併用群の未到達に対してプラセボ+mFOLFOX6併用群で12.9ヶ月と、ベマリツズマブ+mFOLFOX6併用群で死亡(OS)のリスクを42%減少(HR:0.58、95%信頼区間:0.35-0.95、P=0.03)した。また、客観的奏効率(ORR)はベマリツズマブ+mFOLFOX6併用群の53%に対してプラセボ+mFOLFOX6併用群で40%を示した。
一方の安全性として、グレード3の有害事象(AE)発症率はベマリツズマブ+mFOLFOX6併用群の83%に対してプラセボ+mFOLFOX6併用群で74%、重篤な有害事象(SAE)発症率はベマリツズマブ+mFOLFOX6併用群の32%に対してプラセボ+mFOLFOX6併用群で36%を示した。なお、主な有害事象(AE)としては、口内炎がベマリツズマブ+mFOLFOX6併用群の31.6%に対してプラセボ+mFOLFOX6併用群で13.0%、角膜混濁がベマリツズマブ+mFOLFOX6併用群の67%に対してプラセボ+mFOLFOX6併用群で10%だった。ベマリツズマブ+mFOLFOX6併用群では網膜剥離や高リン血症の報告はなかった。
以上の第2相試験の結果よりZev A. Wainberg氏らは「線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)2b陽性の切除不能局所進行性/転移性の胃・胃食道接合部腺がん患者に対するファーストライン治療としてmFOLFOX6に線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)2b阻害抗体であるベマリツズマブを上乗せすることで無増悪生存期間(PFS) 、全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)を改善しました」と結論を述べている。