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BTK阻害薬カルケンス、再発/難治性慢性リンパ性白血病に対する承認取得

1月25日、アストラゼネカ株式会社は選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬カルケンス(R)(一般名:アカラブルチニブ、以下、カルケンス)について、「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」を効能・効果とする承認を厚生労働省より2021年1月22日付で取得したと発表した。

慢性リンパ性白血病(CLL)は、欧米では最も患者数が多い白血病だが、日本および東アジアではまれな疾患。白血病と診断された患者のうち、CLLが占める割合は1~2%である。

今回の承認は、国内第1相試験および国際共同第3相試験(ASCEND試験)の中間解析の良好な結果に基づくもの。ASCEND試験の中間解析では、カルケンス単剤療法群は、リツキシマブ治験担当医師の選択によるidelalisibまたはベンダムスチンの併用療法群と比較して、無増悪生存期間PFS)の統計的に有意で臨床的に意義のある改善を示し、同剤は病勢進行または死亡のリスクを69%減少させた(ハザード比:0.31、95%信頼区間:0.20-0.49、p<0.0001)。

同試験では、カルケンスを投与した再発/難治性CLL患者の推定88%が12カ月後に生存および病勢進行が認められなかったのに対して、対照群のリツキシマブ+idelalisib/ベンダムスチンの併用投与を受けた患者では68%だった。また、16.1カ月(中央値)の追跡調査において、対照群のPFSは16.5カ月であったのに対して、カルケンス単剤療法群は有意に改善したという。

アストラゼネカ社の執行役員研究開発本部長の大津智子氏はプレスリリースにて、「今回のカルケンスの承認は、日本の患者さんに、有効性を損なわずにQOLを改善する可能性のある、化学療法を含まない、忍容性の確認された新たな治療選択肢を提供します」と述べている。

慢性リンパ性白血病とは
慢性リンパ性白血病(CLL)は成人白血病において欧米では最も患者数が多く、2016年には世界で新たに105,000例が診断されており、治療の発展による生存期間の伸長に伴い患者数は増加するとみられている。CLLでは、骨髄中の造血幹細胞が過剰に異常なリンパ球となり、これらの異常細胞は、感染症に対する防御力が低いことが知られている。異常細胞数が増えるに従い、健全な白血球、赤血球および血小板が減少するため、貧血、感染および出血を引き起こす可能性がある。ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)を介するB細胞受容体のシグナル伝達は、CLLの基本的な増殖経路の1つ。

ASCEND試験とは
ASCEND試験(ACE-CL-309)は、再発または難治性CLL患者を対象に、カルケンスの有効性を検討した無作為化多施設非盲検国際共同第3相試験。同試験では、310例の患者を2群に無作為割付けた(1:1)。1群目の患者には、カルケンス単剤療法(病勢進行または許容できない毒性が現れるまで100mgを1日2回投与)を行い、2群目の患者には、治験担当医師の選択により、CD20モノクローナル抗体のリツキシマブとPI3K阻害薬のidelalisibとの併用療法、またはリツキシマブと化学療法のベンダムスチンとの併用療法のいずれかを行った。

主要評価項目は独立判定委員会(IRC)の評価によるPFS、副次評価項目は治験担当医師の評価によるPFS、IRCおよび治験担当医師の評価による全奏効率および奏効期間、ならびに全生存期間、患者が報告したアウトカム、および次治療までの期間。なお、同試験は、再発または難治性CLL患者を対象に、BTK阻害薬について、単剤療法とこれらの併用療法を直接比較した初の第3相無作為化試験であった。

カルケンスとは
カルケンス(アカラブルチニブ)は、次世代の選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤。同剤はBTKに共有結合することでその阻害作用を発揮する。

カルケンスは、米国ではCLLおよび小リンパ球性リンパ腫の治療薬として、EUをはじめとする複数の国々ではCLLの治療薬として承認されている。また、米国をはじめとする複数の国々で、少なくとも1回の前治療歴のあるマントル細胞リンパ腫(MCL)の成人患者の治療薬として承認されている。米国でのMCLに対する適応は、全奏効率に基づいた迅速承認取得を受けて承認されており、同適応症に対する継続的な承認は、確認試験による臨床的ベネフィットの検証および説明が条件となる可能性がある。

広範な臨床開発プログラムの一環として、現在、アストラゼネカとAcerta Pharma社では、カルケンスについて、20以上の臨床試験を実施中で、CLL、MCL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、WM、濾胞性リンパ腫、その他の血液悪性腫瘍を含む複数のB細胞性の血液がんの治療薬として開発されている。

参照元:
アストラゼネカ株式会社 プレスリリース

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