・転移性去勢感受性前立腺がん患者が対象の第3相試験の最終解析
・アーリーダ単剤療法の有効性・安全性をプラセボと比較検証
・全生存期間中央値はアーリーダ群で未到達であり、プラセボ群52.2ヶ月に対して死亡リスクを35%減少した
2021年4月29日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて転移性去勢感受性前立腺がん患者に対する経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬であるアーリーダ(一般名:アパルタミド、以下アーリーダ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のTITAN試験(NCT02489318)の最終解析の結果がBC Cancer and Vancouver Prostate CentreのKim N. Chi氏らにより公表された。
TITAN試験とは、転移性去勢感受性前立腺がん患者(N=1052人)に対して1日1回アーリーダ240mg単剤療法を投与する群、またはプラセボ単剤療法を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、画像上の無増悪生存期間(rPFS)を比較検証したランダム化二重盲検下の第3相試験である。今回の最終解析は、盲検化を解除し、プラセボ単剤療法とアーリーダ単剤療法をクロスオーバーさせた。
本試験の最終解析結果が公表された背景として、初回解析より転移性去勢感受性前立腺がん患者に対する経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬アーリーダ単剤療法は、全生存期間(OS)、画像上の無増悪生存期間(rPFS)を統計学的に改善することが示されている。この有用性が長期に渡り継続するかどうかを検証する目的で、今回の最終解析結果が公表された。
本試験のフォローアップ期間中央値44.0ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はアーリーダ単剤群未到達に対してプラセボ群52.2ヶ月であり、アーリーダ単剤群で死亡(OS)のリスクを35%(HR:0.65、95%信頼区間:0.53~0.79、P<0.001)統計学的有意に減少した。また、二次無増悪生存期間(PFS2)もプラセボ群に比べてアーリーダ単剤群で改善した(P<0.0001 )。
一方の安全性として、これまで確認されている安全性プロファイルと一致しており、本最終解析で新たに確認された治療関連有害事象(TRAE)はなかった。
以上のTITAN試験の最終解析の結果より、Kim N. Chi氏らは「転移性去勢感受性前立腺がん患者に対する経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬アーリーダ単剤療法は、長期に渡り全生存期間(OS)をはじめとして有用性を示し、安全性も問題ありませんでした」と結論を述べている。