・未治療の慢性リンパ性白血病患者が対象の第3相試験
・ベネクレクスタ+ガザイバ併用療法の有効性・安全性を比較検証
・4年長期フォローアップの結果、無増悪生存期間は未到達であり、
クロラムブシル+ガザイバの36.4ヶ月に対し統計学的有意に延長した
2021年6月9日~17日、バーチャルミーティングで開催された第25回欧州血液学会議(EHA2021)にて、未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対するBCL-2阻害薬であるベネクレクスタ(一般名:ベネトクラクス、以下ベネクレクスタ)+抗CD20抗体薬であるガザイバ(一般名:オビヌツズマブ、以下ガザイバ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のCLL14試験(NCT02242942)の結果がUniversity Hospital of CologneのOthman Al-Sawaf氏らにより公表された。
CLL14試験は、未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)患者(N=432人)に対して、28日を1サイクルとしてベネクレクスタを12サイクル+ガザイバを6サイクル併用療法した群(N=216人)と、28日を1サイクルとしてクロラムブシルを12サイクル+ガザイバを6サイクル併用療法した群(N=216人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、重要な副次評価項目として安全性、客観的奏効率(ORR)、微小残存病変(MRD)陰性率、全生存期間(OS)などを比較検証した第3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値52.4ヶ月(49.5~56.2ヶ月)時点における結果は下記の通り。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はベネクレクスタ+ガザイバ併用群の未到達に対してクロラムブシル+ガザイバ併用群で36.4ヶ月と、ベネクレクスタ+ガザイバ併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを67%(HR:0.33、95%信頼区間:0.25~0.45、P<0.0001)統計学的有意に改善した。
4年無増悪生存率(PFS)はベネクレクスタ+ガザイバ併用群の74.0%に対してクロラムブシル+ガザイバ併用群で35.4%を示した。また、サブグループ解析の結果、TP53遺伝子変異/欠損群における4年無増悪生存率(PFS)はベネクレクスタ+ガザイバ併用群の53.0%に対してクロラムブシル+ガザイバ併用群で20.8%、免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子(IGHV)変異群における4年無増悪生存率(PFS)はベネクレクスタ+ガザイバ併用群の68.0%に対してクロラムブシル+ガザイバ併用群で19.8%を示した。
4年全生存率(OS)はベネクレクスタ+ガザイバ併用群の85.4%に対してクロラムブシル+ガザイバ併用群で83.1%と、ベネクレクスタ+ガザイバ併用群で死亡(OS)のリスクを15%(HR:0.85、95%信頼区間:0.54~1.35、P=0.49)減少するも、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった。
以上のCLL14試験の結果よりOthman Al-Sawaf氏らは「未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対するBCL-2阻害薬ベネクレクスタ+抗CD20抗体薬ガザイバ併用療法は長期間に渡り無増悪生存期間(PFS)を改善し、深い奏効を示しました」と結論を述べている。