・再発/難治性多発性骨髄腫患者が対象の第1相試験
・BCMA-CD3二特異性抗体Elranatamab(エルラナタマブ)単剤療法の有効性・安全性を検証
・1週間に1回215μg/kgでの客観的奏効率75%を示す
2021年6月9日~17日、バーチャルミーティングで開催された第25回欧州血液学会議(EHA 2021)にて、再発/難治性多発性骨髄腫患者に対するBCMAとCD3に対する二特異性抗体であるElranatamab(エルラナタマブ、PF-06863135)単剤療法の有効性、安全性を検証した第1相のMagnetisMM-1試験(NCT03269136)の結果がUniversity of California San DiegoのCaitlin Costello氏らにより公表された。
MagnetisMM-1試験は、再発/難治性多発性骨髄腫患者(N=30人)に対して1週に1回Elranatamab(PF-06863135)を80μg/kg(N=4人)、 130μg/kg(N=4人)、 215μg/kg(N=4人)、 360μg/kg(N=4人)、 600μg/kg(N=6人)、 1000μg/kg(N=6人)単剤療法を皮下注射投与し、主要評価項目として用量制限毒性(DLT)、客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)を検証した第1相試験である。
本試験に登録された30人の患者背景は下記の通りである。前治療歴中央値は8レジメン。前治療歴の種類として抗CD38抗体歴のある患者97%、抗BCMA抗体もしくはCAR-T歴のある患者23%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
最も多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)はリンパ球減少症80%(N=24人)、サイトカイン放出症候群(CRS)73%(N=22人)、貧血57%(N=17人)、インフュージョンリアクション53%(N=16人)血小板減少症53%(N=16人)、好中球減少症40%(N=12人)、神経障害20%(N=6人)。主要評価項目である用量制限毒性(DLT)はいずれの患者でも確認されず、第2相試験推奨用量(RPIID)は1週に1回Elranatamab(PF-06863135)1000μg/kgとして決定した。
投与量1週に1回Elranatamab(PF-06863135)215μg/kg以上の患者群における客観的奏効率(ORR)は75%(N=15/20人)、その内訳は部分奏効(PR)6人、最良部分奏効(VGPR)3人、完全奏効(CR)1人、厳密完全奏効(sCR)5人であった。初回奏効期間(TTR)中央値は22日を示した。
以上のMagnetisMM-1試験の結果よりCaitlin Costello氏らは「再発/難治性多発性骨髄腫患者に対するBCMAとCD3に対する二特異性抗体Elranatamab(PF-06863135)単剤療法は管理可能な安全性を示しました。また、投与量1週に1回Elranatamab(PF-06863135)215μg/kg以上の患者群における客観的奏効率(ORR)は75%、完全奏効率(CR)/厳密完全奏効率(sCR)は30%を示しました。これらの結果は、BCMAを用いた免疫療法の実現可能性を確認し、Elranatamab(PF-06863135)の開発を支持するものでした」と結論を述べている。