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非小細胞肺がんに対する初のRET阻害薬レットヴィモの承認了承、免疫チェックポイント阻害薬の併用療法も新たに

7月30日、厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は、審議項目として4製品の審議を行った。抗がん剤関連は日本イーライリリー株式会社のRETキナーゼ阻害薬のレットヴィモカプセル1製品。また、報告事項として6製品を報告し、免疫チェックポイント阻害薬とその併用療法を含め5製品の承認が報告された。正式承認は9月の見込み。

報告事項:医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階において、承認して差し支えないとされ、部会では審議せず報告のみでいいと判断されたもの。

目次

審議品目

レットヴィモカプセル40mg、同80mg(一般名:セルペルカチニブ)

効能・効果:RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行/再発の非小細胞肺がん

レットヴィモは国内初承認のRETキナーゼ阻害薬。RET融合遺伝子陽性のがんは、RET分子内に存在する活性化キナーゼは、がん細胞の生存や増殖に関与している。同剤はRET遺伝子を標的とし、選択的に阻害することにより、RETを介した伝達経路を阻害するためがんの増殖を抑制する作用を有すると考えられている。同剤はコンパニオン診断薬を使用して用いる。

報告品目

キイトルーダ点滴静注100mg(一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))

効能・効果:治癒切除不能な進行/再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸/直腸がん、PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん

キイトルーダはProgrammed death-1(PD-1)とそのリガンドであるPD-L1およびPD-L2との相互作用を阻害して、がん細胞を攻撃するTリンパ球を活性化するヒト化モノクローナル抗体。自己の免疫力を高め、がん細胞を見つけて攻撃するのを助ける役割を持つ。

既にMSI-Highを有する固形がんに対して二次治療での適応は取得していたが、今回の承認了承により、MSI-Highを有する結腸/直腸がんの1次治療から使用が可能になった。

また、乳がんに関してはトリプルネガティブ乳がんに対しての効能追加となる。同日に用法・用量の一部変更が報告された、カルボプラチンとアブラキサンそれぞれとの併用について下記の用法で投与が可能となる。

オプジーボ点滴静注20mg、同点滴静注100mg、同点滴静注120mg、同点滴静注240mg(一般名:ニボルマブ(遺伝子組換え))

効能・効果:根治切除不能又は転移性腎細胞がん

オプジーボはPD-1とそのリガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬。既に根治切除不能または転移性腎細胞がんに対しては単剤療法で二次治療から、ヤーボイ(一般名:イピリムマブ)との併用療法で一次治療から使用可能であったが、今回カボメティクスとの併用療法で一次治療の選択肢が広がった。

カボメティクス錠20mg(一般名:カボザンチニブリンゴ酸塩)

効能・効果:根治切除不能または転移性の腎細胞がん

カボメティクスはMET、VEGFR、AXLなど、がん細胞の増殖に関与する受容体を幅広く阻害するマルチキナーゼ阻害薬。単剤では根治切除不能または転移性の腎細胞がんに対し一次治療から使用することが可能であったが、今回の承認了承でオプジーボとの併用療法においても一次治療から選択可能となる。

カルボプラチン点滴静注液50mg、同点滴静注液150mg、同点滴静注液450mg(一般名:カルボプラチン)

効能・効果:PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん

カルボプラチンは、シスプラチンの抗腫瘍活性を弱めることなく、かつ腎毒性、嘔気や嘔吐等の副作用を軽減することを目的に開発された白金系抗がん剤である。乳がんに対しては2012年3月より適応症を取得している。今回は、同日に承認了承されたキイトルーダとの併用療法に伴う用量追加である。

アブラキサン点滴静注用100mg(一般名:パクリタキセル)

効能・効果:PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん

同日承認了承されたキイトルーダとの併用療法が可能になったことに伴い、これまで「アテゾリズマブ(遺伝子組み換え)との併用において」と記載されていたが「他の抗悪性腫瘍剤との併用において」との記載へ変更になった。

ブスルフェクス点滴静注用60mg(一般名:ブスルファン)

効能・効果:同種造血幹細胞移植の前治療、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍及び神経芽細胞腫における自家造血幹細胞移植の前治療

ブスルフェクスは主に血液がんを対象に造血幹細胞移植の前治療薬使用され、がん細胞のDNAをアルキル化することによりDNAの合成を阻害し、腫瘍の増殖を抑える。日本では2006年に「同種造血幹細胞移植の前治療」および「ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、神経芽細胞腫における自家幹細胞移植の前治療」の効能・効果で承認された。今回は、小児に対して1日1回、4日間投与する方法が新用法として追加になった。

参照元:
厚生労働省 薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会)

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