・転移性ホルモン感受性前立腺がん患者が対象の第3相試験
・Orteronel(オルテロネル)+アンドロゲン遮断療法(ADT)の有効性・安全性を比較検証
・無増悪生存期間は改善したものの、全生存期間値はOrteronel群81.1ヶ月、ビカルタミド群70.2ヶ月で全生存期間を延長せず
4月21日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて転移性ホルモン感受性前立腺がん患者に対する経口非ステロイド性選択的男性ホルモン合成酵素阻害薬であるOrteronel(オルテロネル:TAK-700)+アンドロゲン遮断療法(ADT)の有効性、安全性を比較検証した第3相のSWOG-1216試験(NCT01809691)の結果がUniversity of Utah Huntsman Cancer InstituteのNeeraj Agarwal氏らにより公表された。
SWOG-1216試験は、転移性ホルモン感受性前立腺がん患者(N=1279人)に対して1日2回Orteronel(TAK-700)300mg+アンドロゲン遮断療法(ADT)を実施する群(N=638人)、もしくは1日1回ビカルタミド50mg+アンドロゲン遮断療法(ADT)を実施する群(N=641人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS、主要評価項目達成基準は33%改善)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、有害事象(AE)発症率等を比較検証したオープンラベルランダム化の第3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値4.9年時点における結果は下記の通りである。副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はOrteronel(TAK-700)+アンドロゲン遮断療法(ADT)群の47.6ヶ月に対してビカルタミド+アンドロゲン遮断療法(ADT)群で23.0ヶ月を示し、Orteronel(TAK-700)+アンドロゲン遮断療法(ADT)で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを42%減少(HR:0.58、95%信頼区間:0.51-0.67、P<0.0001)した。
主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はOrteronel(TAK-700)+アンドロゲン遮断療法(ADT)群の81.1ヶ月に対してビカルタミド+アンドロゲン遮断療法(ADT)群で70.2ヶ月と、Orteronel(TAK-700)+アンドロゲン遮断療法(ADT)で死亡(OS)のリスクを14%減少(HR:0.86、95%信頼区間:0.72-1.02、P=0.040)した。
一方の安全性として、グレード3もしくは4の有害事象(AE)発症率はOrteronel(TAK-700)+アンドロゲン遮断療法(ADT)群の43%に対してビカルタミド+アンドロゲン遮断療法(ADT)群で14%であった。
以上のSWOG-1216試験の結果よりNeeraj Agarwal氏らは「転移性ホルモン感受性前立腺がん患者に対する経口非ステロイド性選択的男性ホルモン合成酵素阻害薬Orteronel(TAK-700)+アンドロゲン遮断療法(ADT)は、主要評価項目である全生存期間(OS)を統計学的有意に改善しませんでした。また無増悪生存期間(PFS)との相関も示されませんでした」と結論を述べている。