がん情報サイト「オンコロ」

閉経前および閉経周辺期のホルモン受容体陽性HER2陰性乳がんに対するCDK4/6阻害剤リボシクリブ(Kisqali)、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長する

2017年12月5から9日までアメリカ合衆国・サンアントニオ州で開催されている第40回サンアントニオ乳癌学会議(SABCS2017)にて、閉経前および閉経周辺期のホルモン受容体陽性HER2陰性乳がん患者に対するCDK4/6阻害剤であるリボシクリブ(商品名Kisqali;以下Kisqali)の有効性を検証した第III相のMONALEESA-7試験(NCT02278120)の結果が公表された。

MONALEESA-7試験とは、閉経前および閉経周辺期のホルモン受容体陽性HER2陰性乳がん患者(N=672人)に対して、Kisqali+タモキシフェン(商品名ノルバデックス)またはレトロゾール(商品名フェマーラ)またはアナストロゾール(商品名アリミデックス;以下アリミデックス)+ゴセレリン(商品名ゾラデックス;以下ゾラデックス)を投与する群(N=335人)、プラセボ+ノルバデックスまたはフェマーラまたはアリミデックス+ゾラデックスを投与する群(N=337人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)を比較検証した第III相試験である。

本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はKisqali群23.8ヶ月に対してプラセボ群13.0ヶ月、Kisqali群で統計学的有意に改善することが証明された。また、副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はKisqali群51%に対してプラセボ群36%、Kisqali群で統計学的有意に改善することが証明された。

一方の安全性としては、Kisqali群で発症した最も一般的な有害事象(AE)は予測通り好中球減少症であり、プラセボ群8%に対してKisqali群76%であった。グレード3または4の好中球減少症はプラセボ群4%に対してKisqali群61%であったが、大半の患者は無症状であった。好中球減少症による発熱、感染症の発症率はプラセボ群1%に対してKisqali群2%であった。

好中球減少症以外の有害事象(AE)としてはホットフラッシュ、吐き気、白血球減少症、関節痛などであった。なお、有害事象(AE)により治療が永久的中止となった患者はプラセボ群3%に対してKisqali群4%であった。

以上のMONALEESA-7試験の結果を受けて、テキサス大学MDアンダーソンがんセンター・乳腺腫瘍学の教授であるDebu Tripathy氏は以下のように述べている。

“CDK4/6阻害剤と呼ばれる新薬は閉経後のホルモン受容体陽性HER2陰性乳がん患者さんに対するアロマターゼ阻害薬、フルベストラント(商品名フェソロデックス;以下フェソロデックス)などホルモン療法との併用療法が米国食品医薬品局(FDA)より承認されています。しかし、閉経前および閉経周辺期のホルモン受容体陽性HER2陰性乳がん患者さんに対するCDK4/6阻害剤の有効性を証明した大規模試験は過去にありませんでした。MONALEESA-7試験は、CDK4/6阻害剤であるKisqaliの有効性を閉経前および閉経周辺期のホルモン受容体陽性HER2陰性乳がん患者さんに対して証明した初めての大規模試験です。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の達成に次いで、副次評価項目である全生存期間(OS)の達成が証明されることを我々は期待しています。”

×
モバイルバージョンを終了