閉経後、エストロゲン受容体陽性の局所進行・転移性乳がんを対象とした1次治療のホルモン療法としてのフルベストラン(商品名フェソロデックス)とアナストゾール(商品名アリミデックス)を比較する第2相臨床試験(First Study)の全生存期間の最終結果が米国臨床腫瘍学会(ASCO)の学会誌ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジーに掲載されました。
ポイントは以下の通りです。
【割付】
合計205名の患者がフェソロデックス群に102名、アリミデックス群に103名が登録
【用法用量】
フェソロデックス:初回、2週後、4週後、その後は4週ごとに1回500mgを筋肉内注射
アリミデックス:毎日1mgが経口投与
【全生存期間中央値】
フェソロデックス群:54.1ヶ月
アリミデックス群:48.4ヶ月
*フェソロデックス群にて30%のリスク低下を得られる結果となった。
統計学的にも証明(p=0.04)
【安全性】
重篤な副作用(グレード3以上)は両群に差は認めず、心房細動が1人ずつ、心不全・食欲不振・脱水・消化不良がフェソロデックス群でそれぞれ2人、大腿骨骨折がフェソロデックス群で1人、アリミデックス群で2名、顔面等の神経痛が1人ずつ、一過性脳虚血発作がアリミデックス群で2人観察された。副作用発現については、この試験で特別に新たなものは認められていない。
腫瘍の進行を抑える効果の比較結果は既に公表されており、フェソロデックス500mg23.4カ月、アリミデックス13.1カ月と上回っています。
フェソロデックス500mg群で生存に寄与した要因は、抗がん剤などの化学療法と内分泌(ホルモン)療法の経験がない患者であり、この臨床試験の規定通り、1次治療の患者でメリットは大きかったと分析されました。
第2相試験の腫瘍の進行を抑える効果の結果を受け開始された大規模第3相試験(FALCON Trial)はすでに登録が終了しており、結果が間もなく発表されると考えられます。
現在、フルベストラントは閉経後エストロゲン受容体陽性の乳がん患者の初回治療への使用は推奨されていませんが、第3相試験結果によっては、使用可能になるかもしれません。
記事:前原 克章(一部修正 可知 健太)