2018年1月18日より20日までアメリカ合衆国・カルフォルニア州・サンフランシスコで開催されている消化器癌シンポジウム(ASCO-GI2018)のオーラルセッションにて、進行性肝細胞がん患者に対するカボザンチニブ(商品名CABOMETYX;以下CABOMETYX)単剤療法の有効性を検証した第III相のCELESTIAL試験(NCT01908426)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer Center・General Hospital・Ghassan K. Abou-Alfa氏らにより公表された。
CELESTIAL試験とは、ソラフェニブ(商品名ネクサバール;以下ネクサバール)治療歴のある進行性肝細胞がん患者(N=760人)に対してCABOMETYX単剤療法を投与する群、またはプラセボ単剤療法を投与する群に2:1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)を比較検証した国際多施設共同二重盲検下の第III相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はCABOMETYX単剤療法群10.2ヶ月に対してプラセボ単剤療法群8.0ヶ月、死亡(OS)のリスクが24%(ハザード比:0.76,95%信頼区間:0.63-0.92,P=0.0049)統計学的有意に減少することが証明された。
また、副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はCABOMETYX単剤療法群5.2ヶ月に対してプラセボ単剤療法群1.9ヶ月(ハザード比:0.44,95%信頼区間:0.36-0.52,P< 0.0001)、客観的奏効率(ORR)はCABOMETYX単剤療法群4.0%に対してプラセボ単剤療法群0.4%(P=0.0086)と両指標ともにCABOMETYX単剤療法群で良好な結果を示した。
さらに、サブグループ解析として前治療歴がネクサバール療法による1レジメンのみの患者に限定してそれぞれの評価項目を検証したところ、全生存期間(OS)中央値はCABOMETYX単剤療法群11.3ヶ月に対してプラセボ単剤療法群7.2ヶ月、無増悪生存期間(PFS)中央値はCABOMETYX単剤療法群5.5ヶ月に対してプラセボ単剤療法群1.9ヶ月(ハザード比:0.40,95%信頼区間:0.32-0.50)を示した。
一方の安全性は、過去の臨床試験で確認されていたCABOMETYXの安全性プロファイルと一致していた。最も一般的に確認されたグレード3または4の有害事象(AE)は手足症候群がCABOMETYX療法17.0%に対してプラセボ療法0%、高血圧16.0%に対して2.0%、アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)上昇12.0%に対して7.0%、疲労10.0%に対して4.0%、下痢10.0%に対して2.0%、無力症7.0%に対して2.0%、食欲減退6.0%に対して1.0%未満の患者で確認された。なお、CABOMETYX療法群で減量した患者は62.0%、治療関連有害事象(TRAE)のために治療継続が困難になった患者は16.0%であった。
以上のCELESTIAL試験の結果より、Ghassan K. Abou-Alfa氏らは以下のように述べている。”ネクサバール治療後の進行性肝細胞がん患者に対し、CABOMETYX単剤療法は新しい治療選択肢になる可能性が本試験の結果より示唆されました。”