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血管透過性

血管透過性とは、血管とその周りの組織との間で起こる水分や栄養分などの移動のことです。正常な血管では、水分や糖、アミノ酸といった小さな物質は血管壁を透過しますが、タンパク質などの大きな物質は血管壁を通過することができません。しかし、がん組織の血管では、タンパク質などの大きな物質も通過しています。このような状態を「血管透過性が亢進している」と呼びます。がん組織では、周りから栄養や酸素を補給するために盛んに新しい血管を作っています。こうした急ごしらえの血管では、血管壁の一番内側に存在する血管内皮細胞同士の結び付きがゆるくなっており、大きな物質も通過してしまうと考えられています。卵巣癌の治療で使われる「ドキシル」という薬は、直径が100 nm(0.0001 mm)のカプセル(リポソーム)にドキソルビシンという抗がん剤を詰め込んだ薬です。このカプセルは、正常な血管は透過できませんが、がん組織の血管は透過できる大きさなため、がん組織に優先的に集まります。これにより、がん組織への抗がん剤の集積が増し、正常組織への影響が軽減されています。

 
作成:株式会社インテリム

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