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複数治療歴のある卵巣がん患者に対するPARP阻害薬ニラパリブ、BRCA遺伝子変異の有無に関係なく高い抗腫瘍効果を示す

この記事の3つのポイント
PARP阻害薬治療歴のないプラチナ系ベースの抗がん剤に対して感受性のある相同組換え修復異常(HRD)陽性卵巣がん患者の4次治療または5次治療としてのニラパリブ単剤療法の客観的奏効率ORR)は29%
・プラチナ系ベースの抗がん剤に対して感受性のあるBRCA遺伝子変異陽性患者の4次治療以降としてのニラパリブ単剤療法の客観的奏効率(ORR)は31%
・BRCA遺伝子変異の有無に関係なく卵巣がんの後方ラインの治療薬として高い抗腫瘍効果を示したPARP阻害薬はニラパリブのみである

2018年4月24日、TESARO社のプレスリリースにて複数治療歴のある卵巣がん患者に対するポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害薬であるニラパリブ(商品名ZEJULA)単剤療法の有効性安全性を検証した第II相のQUADRA試験(NCT0235458)の結果が公表された。

QUADRA試験とは、前治療歴3レジメン以上の卵巣がん患者(N=461人)に対して1日1回ニラパリブ300mgより投与開始し、主要評価項目としてPARP阻害薬治療歴がなくプラチナ系ベースの抗がん剤に対して感受性がある相同組換え修復異常(HRD)陽性卵巣がん患者における客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)、病勢コントロール率DCR)、無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)、安全性などを検証した非盲検下単群の第II相試験である。

本試験に登録された患者背景は前治療歴としてPARP阻害薬による治療歴のない患者92%、ベバシズマブ(商品名アバスチン)治療歴のある患者63%、プラチナ系ベースの抗がん剤に対して難治性を示した患者が3分の2以上。遺伝子変異はBRCA遺伝子変異陽性の患者15%である。

以上の背景を有する患者における本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目であるPARP阻害薬治療歴がなくプラチナ系ベースの抗がん剤に対して感受性がある相同組換え修復異常(HRD)陽性卵巣がん患者(N=45人)における4次治療または5次治療としてのニラパリブ単剤療法の客観的奏効率(ORR)は29%、副次評価項目である奏効持続期間(DOR)中央値は9.2ヶ月を示した。

また、プラチナ系ベースの抗がん剤に対して感受性があるBRCA遺伝子変異陽性患者(N=55人)における4次治療以降としてのニラパリブ単剤療法の客観的奏効率(ORR)は31%、副次評価項目である奏効持続期間(DOR)中央値は9.4ヶ月を示した。

一方の安全性として、ニラパリブの治療関連有害事象(TRAE)は既存の安全性プロファイルと一致していた。なお、骨髄抑制などの治療関連有害事象(TRAE)はニラパリブの用量を調整することで管理可能であった。

以上のQUADRA試験の結果より、TESARO社・最高執行責任者(COO)・Mary Lynne Hedley氏は以下のように述べている。”ニラパリブはBRCA遺伝子変異の有無に関係なく、卵巣がんの後方ラインの治療でも抗腫瘍効果を示しました。この試験結果は、現在承認されているPARP阻害薬の中でニラパリブにしか有しないデータです。今後、我々はニラパリブによる治療恩恵を全ての卵巣がん患者さんが享受できるよう、抗PD-1抗体薬とニラパリブ併用療法の有効性を検証しているTOPACIO試験をはじめとして臨床試験を引き続き推進していきます。”

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