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HER2陽性早期乳がん患者に対する術後化学療法としてのハーセプチン6ヶ月間投与、12ヶ月間投与に対して主要評価項目である無病生存率(DFS rate)の非劣性を証明する

この記事の3つのポイント
HER2陽性早期乳がん患者に対する術後化学療法としてのハーセプチンの4年無病生存率(DFS rate)はハーセプチン6ヶ月間投与群、12ヶ月間投与する群ともに89%を示し、両群間の非劣性が証明された
・治療関連有害事象(TRAE)である心機能障害発症率はハーセプチン12ヶ月間投与群8%に対してハーセプチン6ヶ月間投与群4%であった
・4年無病生存率(DFS rate)と同様の結果が、全生存期間OS)、ならびに予め計画されていた無病生存率(DFS rate)および全生存率(OS)のランドマーク分析でも確認された

2018年5月16日、2018年6月1日より5日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催される米国癌治療学会議(ASCO 2018)に先立って行われた報道解禁プレスキャストにて、HER2陽性早期乳がん患者に対する術後化学療法に追加でトラスツズマブ(商品名ハーセプチン;以下ハーセプチン)を12ヶ月間投与する治療に対する追加でハーセプチンを6ヶ月間投与する治療の非劣性を検証した第III相のPERSEPHONE試験(NCT00712140)の結果がCambridge Cancer Centrer・Helena Earl氏らにより公表された。

PERSEPHONE試験とは、HER2陽性早期乳がん患者(N=4089人)に対して標準術後化学療法に加えて3週間に1回ハーセプチンを6ヶ月間投与する群、または標準術後化学療法に加えて3週間に1回ハーセプチンを12ヶ月間投与する群に1:1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無病生存率(DFS rate)の非劣性を比較検証した第III相試験である。

なお、本試験では非劣性マージンとしてハザード比1.29、ハーセプチン12ヶ月間投与群の4年無病生存率(DFS rate)中央値を80%と設定しており、ハーセプチン6ヶ月間投与群の4年無病生存率(DFS rate)中央値がハーセプチン12ヶ月間投与群に対して3%未満以内まで劣ることを許容している。

本試験のフォローアップ期間中央値4.9年時点における主要評価項目である無病生存率(DFS rate)の結果は下記の通りである。4年無病生存率(DFS rate)はハーセプチンを6ヶ月間投与する群、ハーセプチンを12ヶ月間投与する群ともに89%(95%信頼区間:88%-91%)を示した。また、ハーセプチン12ヶ月間投与群に対するハーセプチン6ヶ月間投与群のハザード比は1.05(95%信頼区間:0.88-1.25)、ハーセプチン12ヶ月間投与群に対するハーセプチン6ヶ月間投与群の非劣性が証明された。なお、全生存期間(OS)、ならびに予め計画されていた無病生存率(DFS rate)および全生存率(OS)のランドマーク分析でも同様の結果が見られている。

一方の安全性として、ハーセプチン特有の治療関連有害事象(TRAE)である心機能障害の発症率がハーセプチン12ヶ月間投与群8%に対してハーセプチン6ヶ月間投与群4%を示し、ハーセプチンを6ヶ月間投与にすることで心機能障害の発症率が統計学有意に減少した(P<0.0001)。

以上のPERSEPHONE試験の結果よりHelena Earl氏らは以下のように結論を述べている。”本試験の主要評価項目である無病生存率(DFS rate)において、ハーセプチン12ヶ月間投与群に対するハーセプチン6ヶ月間投与群の非劣性が証明されました。また、心機能障害をはじめその他治療関連有害事象(TRAE)がハーセプチン投与より7ヶ月から12ヶ月の間に発症する場合、本試験の安全性は非常に臨床的意義のある結果になるでしょう。”

PERSEPHONE: 6 versus 12 months (m) of adjuvant trastuzumab in patients (pts) with HER2 positive (+) early breast cancer (EBC): Randomised phase 3 non-inferiority trial with definitive 4-year (yr) disease-free survival (DFS rate) results.(2018 ASCO Annual Meeting, Abstract No.506)

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