・未治療胆管がん患者対象にナブパクリタキセル+ゲムシタビンの有効性を検証した
・6ヶ月無増悪生存率を主要評価項目としたシングルアームの第Ⅱ相試験
・事前に設定した基準を6ヶ月無増悪生存率は達成できなかったが、忍容性は確認された
2018年8月30日、医学誌『JAMA Oncology』にて進行性または転移性胆管がん患者に対するファーストラインとしてのナブパクリタキセル+ゲムシタビン併用療法の有効性を検証した第II相試験(NCT02181634)の結果がUniversity of Michigan・Vaibhav Sahai氏らにより公表された。
本試験は、18歳以上の前治療歴のない進行性または転移性胆管がん患者(N=74人)に対して28日を1サイクルとして1、8、15日目にナブパクリタキセル125mg/㎡+ゲムシタビン1000mg/㎡併用療法を病勢進行または予期せぬ毒性が発現するまで投与し、主要評価項目として6ヶ月無増悪生存率(PFS rate)、副次評価項目として全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)などを検証したシングルアームの多施設共同第II相試験である。
なお、本試験が計画された背景としては進行性転移性胆管がんに対する治療としてゲムシタビン単剤療法だけでは、その有効性が得られる患者が限られているためである。また、最近の臨床試験にて、ナブパクリタキセルがゲムシタビンの抗腫瘍効果を活性化する報告があるためである。以上の背景より進行性または転移性胆管がん患者に対するナブパクリタキセル+ゲムシタビン併用療法の有効性、安全性を検証する試験が計画された。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は62歳(36-87歳)。性別は女性60%(N=44人)、男性40%(N=30人)。投与サイクル中央値6サイクル(1-18サイクル)。以上の背景を有する患者に対するフォローアップ期間中央値10.2ヶ月(0.6-27.3ヶ月)時点における結果は下記の通りである。
主要評価項目である6ヶ月無増悪生存率(PFS rate)は61%(95%信頼区間:48%-73%)、事前に設定した有意差基準を満たすことはできなかった。副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は7.7ヶ月(95%信頼区間:5.4-13.1ヶ月)、全生存期間(OS)中央値は12.4ヶ月(95%信頼区間:9.2-15.9ヶ月)を示した。また、客観的奏効率(ORR)は30%、病勢コントロール率(DCR)は66%を示した。一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症43%、倦怠感14%であった。
以上の第II相試験の結果よりVaibhav Sahai氏ら以下のように結論を述べている。”進行性または転移性胆管がん患者に対するナブパクリタキセル+ゲムシタビン併用療法は主要評価項目である6ヶ月無増悪生存率(PFS rate)を達成することはできませんでした。しかし、本レジメンは忍容性があり、現在の標準治療を代替し得る可能性が示唆されました。”