2018年10月19日~23日までドイツ・ミュンヘンで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)にてBRCA1/2遺伝子変異陽性進行性卵巣がん患者に対する一次治療後の維持療法としてのPARP阻害薬であるオラパリブ(商品名リムパーザ;以下リムパーザ)単剤療法の有効性を比較検証した第III相のSOLO-1試験(NCT01844986)の結果が公表された。
SOLO-1試験とは、プラチナ製剤ベースの化学療法による前治療を受け、完全奏効(CR)または部分奏効(PR)を示したBRCA1/2遺伝子変異陽性進行性卵巣がん患者(N=391人)に対して1日2回リムパーザ300mg単剤療法を投与する群(N=260人)、または1日2回プラセボ療法を投与する群(N=131人)に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として二次治療までの無増悪生存期間(PFS2)、全生存期間(OS)を比較検証した無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第Ⅲ相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はリムパーザ群で未到達に対してプラセボ群で13.8ヶ月、プラセボ群に比べてリムパーザ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを統計学有意に70%減少(HR:0.30,95%信頼区間:0.23-0.41,P<0.0001)した。なお、未到達であったリムパーザ群の無増悪生存期間(PFS)中央値は約3年以上の至ることが示唆されている。
副次評価項目である二次治療までの無増悪生存期間(PFS2)中央値はリムパーザ群で未到達に対してプラセボ群で41.9ヶ月、プラセボ群に比べてリムパーザ群で二次治療までの病勢進行または死亡(PFS2)のリスクを統計学有意に50%減少(HR:0.50,95%信頼区間:0.35-0.72,P=0.0002)した。
一方の安全性として、リムパーザ群で最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は貧血22%、好中球減少症8%であった。
以上のSOLO-1試験の結果を受けて、Stephenson Cancer Center・Kathleen Moore氏は以下のように述べている。”一次治療後のBRCA1/2遺伝子変異陽性進行性卵巣がん患者さんはリムパーザによる維持療法を受けることで無増悪生存期間(PFS)は3年を超えます。”