・Selinexor+デキサメタゾン併用療法の有効性・安全性を検証した第2相試験の結果が発表された
・対象は複数治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者だった
・主要評価項目の客観的奏効率は、部分奏効以上が26.2%、最良奏効以上が6.5%だった
2018年12月1日~4日に米国・サンディエゴで開催された第60回米国血液学会(ASH)にて、複数治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者に対する経口選択的核外輸送タンパク質阻害薬(SINE)であるSelinexor(KPT-330)+デキサメタゾン併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のSTORM試験(NCT02336815)の結果がMount Sinai School of MedicineのAjai Chari氏らにより公表された。
STORM試験とは、プロテアソーム阻害薬(PI)、免疫調節薬(iMids)、モノクローナル抗体薬などの治療歴を3レジメン以上有する再発難治性多発性骨髄腫患者(N=122人)に対して週2回Selinexor 80mg+デキサメタゾン20mg併用療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)を検証した国際多施設共同シングルアームの第2相試験である。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は65歳(40-85歳)。前治療歴中央値は7レジメン(3-18レジメン)。多発性骨髄腫初回診断時からの経過期間中央値は6.6年(1-23.4年)。ハイリスクのある患者割合は53%(N=65人)。
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である独立評価委員会(IRD)判定による客観的奏効率(ORR)は部分奏効(PR)以上で26.2%、最良奏効(VGPR)以上で6.5%を示した。なお、客観的奏効率(ORR)を示した患者の内2人で厳密完全寛解(sCR)を示し、部分奏効(PR)を示した患者の内2人はCAR-T療法治療歴を有する患者であった。なお、ミニマルレスポンス(MR)以上の患者は39.3%、病勢安定(SD)以上の患者は79%を示した。
副次評価項目である奏効持続期間(DOR)中央値は4.4ヶ月、無増悪生存期間(PFS)中央値は3.7ヶ月、全生存期間(OS)中央値は8.0ヶ月。なお、全生存期間(OS)中央値は、ミニマルレスポンス(MR)未満群1.9ヶ月に対してミニマルレスポンス(MR)以上群未到達、ミニマルレスポンス(MR)以上群で死亡(OS)のリスクを59%統計学的有意に減少した(HR:0.41,P=0.0001)。
一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)としては疲労感68%、血小板減少症67%、吐き気67%、食欲不振50%、貧血46%、体重減少46%。また、グレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)としては血小板減少症53%、貧血28%、疲労感21%、吐き気10%、食欲不振2%。
以上のSTORM試験の結果よりAjai Chari氏らは以下のように結論を述べている。”複数治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者に対するSelinexor+デキサメタゾン併用療法は客観的奏効率(ORR)26.2%を示しました。またその内2人の患者では厳密完全寛解(sCR)を達成しました。”