・複数治療歴のある進行性神経内分泌腫瘍患者に対する第2相KEYNOTE-158試験
・抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法の有効性・安全性を検証
・抗腫瘍効果は限定的だった一方、忍容性は良好だった
2019年1月17日~1月19日に米国・サンフランシスコで開催された消化器がんシンポジウム(ASCO GI 2019)にて複数治療歴のある進行性神経内分泌腫瘍患者に対する抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のKEYNOTE-158試験(NCT02628067)の結果がMoffitt Cancer CenterのJonathan R. Strosberg氏らにより公表された。
KEYNOTE-028試験とは、神経内分泌腫瘍を含む10種類の複数治療歴のある進行性がん患者に対して3週に1回キイトルーダ200mg単剤療法を病勢進行または予期せぬ有害事象が発現するまで投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証したバスケット試験である。なお、今回公表された結果は、107人の進行性神経内分泌腫瘍患者を対象したものである。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値59歳(29-80歳)。ECOG Performance Statusはスコア1が44.9%。前治療歴中央値は2レジメン以上67.3%。PD-L1陽性率15.9%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は3.7%(95%信頼区間:1.0%-9.3%)を示し、その奏効率の内訳は完全奏効(CR)0人、部分奏効(PR)4人、病勢安定(SD)61人であった。なお、部分奏効(PR)を示した4人の患者はPD-L1陰性であった。
副次評価項目である奏効持続期間(DOR)中央値は未到達(95%信頼区間:4.1-15.9ヶ月)を示し、部分奏効(PR)を示した4人の内3人の患者では奏効持続期間(DOR)を9ヶ月以上超えている。無増悪生存期間(PFS)中央値は4.1ヶ月(95%信頼区間:3.5-5.4ヶ月)、6ヶ月無増悪生存率(PFS)は38.2%を示した。全生存期間(OS)中央値は未到達(95%信頼区間:18.8ヶ月-未到達)、6ヶ月全生存率(OS)は84.6%を示した。
一方の安全性として全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は75.7%、グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)発症率は20.6%、最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は疲労感21.5%であった。
以上のKEYNOTE-028試験の結果よりJonathan R. Strosberg氏らは以下のように結論を述べている。”複数治療歴のある進行性神経内分泌腫瘍患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法の抗腫瘍効果は限定的でした。一方で、忍容性は良好でした。”