・進行性胃がん患者が対象のランダム化非盲検第2相試験
・ファースライン治療としてのPOF療法、IP PAC療法の有効性を比較検証
・FOLFOX療法に比べて無病悪生存期間をPOF療法群で統計学的有意に改善
2019年1月17日~1月19日まで米国・サンフランシスコで開催された消化器がんシンポジウム(ASCO GI 2019)にて進行性胃がん患者に対するファースライン治療としてのPOF療法、IP PAC療法の有効性を比較検証した第2相試験(NCT02845908)の結果がFujian Cancer HospitalのRongbo Lin氏らにより公表された。
本試験は、進行性胃がん患者(N=89人)に対して2週を1サイクルとしてPOF療法(パクリタキセル+FOLFOX)を投与する群(N=30人)、2週を1サイクルとしてIP PAC療法(腹腔内パクリタキセル+FOLFOX)を投与する群(N=29人)、または2週を1サイクルとしてFOLFOX療法を投与する群(N=30人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無病悪生存期間(PFS)、副次評価項目として奏効率(RR)、有害事象発症率(AE)などを比較検証したランダム化非盲検第2相試験である。なお3群ともに最大9サイクルまで投与し、その後はS-1単剤療法を病勢進行するまで継続投与している。
本試験が実施された背景として、進行性胃がんに対するファーストライン治療として西欧ではトリプレットレジメンが標準治療であるが、東アジアではダブレットレジメンが標準治療である。しかしながら、近年ではPOF療法、IP PAC療法などのトリプレット療法の有効性が示されているため、本試験ではFOLFOX療法に対するPOF療法、IP PAC療法の有効性が検証された。
本試験の結果、主要評価項目である無病悪生存期間(PFS)中央値は以下の通り。
POF療法群6.444ヶ月(95%信頼区間:5.093 – 7.794ヶ月)
IP PAC療法群6.214ヶ月(95%信頼区間:5.095 – 7.332ヶ月)
FOLFOX療法4.077ヶ月(95%信頼区間:2.268 – 5.886ヶ月)
FOLFOX療法に比べて無病悪生存期間(PFS)をPOF療法群で統計学的有意に改善し(P=0.043)、IP PAC療法群でも改善傾向を示した(P=0.051)。
POF療法群9.543ヶ月(95%信頼区間:7.958-11.111ヶ月)
IP PAC療法群10.882ヶ月(95%信頼区間:8.953 – 12.812ヶ月)
FOLFOX療法6.641ヶ月(95%信頼区間:4.788 – 8.494ヶ月)
FOLFOX療法に比べて全生存期間(OS)をPOF療法群、IP PAC療法群ともに改善するも、結果は未成熟であった。
奏効率(RR)はPOF療法群56.7%(N=17人)、IP PAC療法群37.9%(N=11人)、FOLFOX療法36.6%(N=11人)、FOLFOX療法に比べてPOF療法群、IP PAC療法群ともに奏効率(RR)において統計学的有意な差は確認されなかった。
以上の第2相試験の結果よりRongbo Lin氏らは以下のように結論を述べている。“進行性胃がん患者に対するファースライン治療としてのPOF療法、IP PAC療法は、FOLFOX療法に比べて無病悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善しました。また、奏効率(RR)においてもPOF療法はFOLFOX療法に比べて高率でした。”