1月16日、オンコロジー専門誌であるJournal of clinical oncology(JCO)に「転移性腎細胞がん患者に対して免疫チェックポイント阻害薬PD-L1抗体アテゾリズマブを使用したときの第1相試験」の結果が掲載されました。
概要は以下の通り。
【結果】
◆ 副作用発現率
・グレード3(中等度~重度)の治療関連副作用発現:17%
・グレード3(中等度~重度)の免疫関連副作用発現:4%
・グレード4(重度以上)および5の副作用発現:なし
◆ 転移性明細胞腎細胞がん(患者数63名)の有効性
・全生存期間の中央値:28.9ヶ月(95%信頼区間:20.0ヶ月‐未到達)
・無増悪生存期間(がんの進行を抑えた期間)の中央値:5.6ヶ月(95%信頼区間:3.9‐8.2ヶ月)
◆ 奏効率(一定以上腫瘍が縮小した方の割合);患者数62名
・15%(95%信頼区間:7%‐26%)
◆腫瘍免疫細胞浸潤(IC)を指標とした奏効率
・IC0;患者数22名:9%(95%信頼区間:1‐29%)
・IC1/2/3;患者数33名:18%(95%信頼区間:7‐35%)
*ICが高いほど免疫細胞が腫瘍に集まっている
◆ 核異型度の分類であるFurman指標を用いた
グレード4(巨大細胞もしくは紡錘形細胞)もしくは肉腫様の奏効率;患者数22名
・22%(95%信頼区間:6ー48%)
◆ 治療によりエフェクターT細胞と制御性T細胞の遺伝子発現比率は増加し、血清での腎細胞がんのマーカーやタンパクは減少した。
【まとめ】
● アテゾリズマブの治療は、転移性腎細胞がん患者に対し、副作用発現は許容でき、有効的な抗腫瘍効果を示した。
【現在、日本で進行中の腎細胞がん対象のアテゾリズマブの臨床試験】
未治療の進行腎細胞癌患者を対象としたMPDL3280A(抗PD-L1抗体)とベバシズマブの併用をスニチニブと比較する第3相非盲検ランダム化試験(JapicCTI-152983)
記事:前原 克章 & 可知 健太