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腎細胞がん 免疫チェックポイント阻害薬オプジーボ+ヤーボイの第3相臨床試験(募集終了)

目次

ポイント

本試験は、未治療の進行腎細胞がん患者に対して免疫チェックポイント阻害薬PD-1抗体オプジーボ+CTLA-4抗体ヤーボイの併用療法及びマルチチロシンキナーゼ阻害薬スニチニブ(スーテント)の単剤を投与し、その効果を比較する第3相試験です。

<一般的な説明>

試験概要

進行性または転移性の腎細胞がん患者で未治療の方を対象として、免疫チェックポイント阻害薬であるPD-1抗体ニボルマブ(オプジーボ)と同じく免疫チェックポイント阻害薬であるCTLA-4抗体イピリムマブ(ヤーボイ)を併用投与する群と、マルチキナーゼ阻害薬スニチニブ(スーテント)のみを投与する群に分けて、がんを抑制する効果を比較する臨床試験です。

治験薬剤の説明

◆ニボルマブとイピリムマブ
通常、細菌等の異物が体内に認められたときに免疫細胞が攻撃します。一方、がん細胞は免疫細胞から異物と認められないような機能を有しますが、その時にPD-1やCTLA-4というタンパク質がかかわっています。PD-1抗体ニボルマブ(オプジーボ)やCTLA4抗体イピリムマブ(ヤーボイ)はその機能を無効にできると期待されており、その結果、がん細胞を異物であると認識することができるようになります。がん細胞を異物と認識できるようになると、免疫細胞ががん細胞を攻撃できるようになります。

◆スニチニブ
細胞の表面には成長因子と呼ばれるタンパク質が存在し、細胞の増殖や血管新生に関わっています。このタンパク質の遺伝子変異があると、細胞はがん化し、無秩序に増殖してしまいます。スニチニブはPDGFR、VEGFR、KIT、FLT、CSF、RETの成長因子の受容体を阻害するマルチチロシンキナーゼ阻害薬です。この働きによって、がん細胞は増殖することができなくなり、抗がん作用が得られると期待されています。

主な参加条件等

この試験の対象となりうる方

  1. 18歳以上の方
  2. 組織学的に淡明細胞型腎細胞がんであることが確認されている方
  3. 進行性又は転移性腎細胞がんの方
  4. 腎細胞がんに対する全身療法を受けたことのない方(術前又は術後補助化学療法の最終投与から6か月以上経過後に再発した場合は除く)

この試験の対象とならない方

  1. 中枢神経系転移の病歴または転移をお持ちの方
  2. VEGF又はVEGF受容体を標的とした全身治療の治療歴がある方

臨床試験公開情報

JAPIC No :   JapicCTI-152852 (最終更新日2015/7/30)詳細はコチラ
ClinicalTrials.gov Identifier : NCT02231749 (最終更新日2016/3/11)詳細はコチラ

治験概要

未治療の進行性又は転移性の腎細胞がん患者を対象に,ニボルマブとイピリムマブの併用療法とスニチニブの単剤療法を比較する無作為化非盲検第3相試験

対象がん種 腎細胞がん
フェーズ P3
実施期間 2015年2月~2019年9月
実施国 日本、米国、アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ハンガリー、アイルランド、イスラエル、イタリア、韓国、メキシコ、ポーランド、スペイン、スウェーデン、台湾、トルコ、イギリス
目標症例 1070
状況 募集終了
手法 ランダム化、非盲検
一般名:ニボルマブ(商品名:オプジーボ)、イピリムマブ(商品名:ヤーボイ)、スニチニブ(商品名:スーテント)
種類 免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体、抗CTLA4抗体)、マルチチロシンキナーゼ阻害薬
投与経路 経口投与

<専門的な説明>

試験概要

未治療の進行性又は転移性腎細胞がん患者において,ニボルマブとイピリムマブを併用投与したときとスニチニブ単剤を投与したときの無増悪生存期間及び全生存期間を比較検討する(JAPIC-CTI)

治験薬剤の説明

ニボルマブは完全ヒト型抗 PD-1 抗体です。PD-1 は、リンパ球の表面にある受容体の一種で、生体において活性化したリンパ球を抑制するシステム(負のシグナル)に関与しています。がん細胞は、このシステムを利用して免疫反応から逃れているという研究成績が報告されています。ニボルマブは、リンパ球を抑制するPD-1 の働き(PD-1 と結合するPD-L1 およびPD-L2 との相互作用)を抑制することで、がん細胞を異物と認識してこれを排除する免疫反応を増進することにより有効性が期待されている薬剤です。
(小野薬品HPより:http://www.ono.co.jp/jpnw/PDF/n13_1224.pdf

イピリムマブは、米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社ががん治療の目的で開発しているヒト型抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体であり、CTLA-4免疫チェックポイント阻害薬です。イピリムマブは、T細胞の活性化を抑制する調節因子である細胞傷害性Tリンパ球抗原-4 (CTLA-4) の働きを阻害することで、免疫応答をコントロールし、腫瘍抗原特異的なT細胞の活性化と増殖を促進させ、腫瘍増殖を抑制します。

(ブリストルマイヤーズHPより:http://www.bms.co.jp/press/20140919.html

スーテントは、経口投与による抗悪性腫瘍薬でキナーゼ阻害剤と呼ばれ、腫瘍増殖と血管新生に関与する複数の受容体チロシンキナーゼを選択的に阻害する低分子化合物です。
本剤は、in vitro試験において血小板由来増殖因子受容体(PDGFR-α及びPDGFR-β)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR-1、VEGFR-2及びVEGFR-3)、幹細胞因子受容体(KIT)、fms様チロシンキナーゼ3(FLT3)、コロニー刺激因子-1受容体(CSF-1R)及びグリア細胞株由来神経栄養因子受容体(RET)のRTK活性を阻害することが報告されています。
さらに、非臨床薬理試験において、スーテントは種々の固形がんに対する直接的な抗腫瘍活性と腫瘍血管新生阻害作用の双方を有することが示唆されています。

(ファイザーHPより:http://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2012/2012_08_10.html

 

注意

・試験タイトルに英語記載がある場合、JAPIC等の日本語公開情報に掲載がないことを意味します。
・試験概要の「専門的な説明」は、JAPICやUMINに情報がある場合はそこから、ない場合はClinidcaltrials.govから転記しています。
・薬剤の「専門的な説明」は、開発企業に情報がある場合はそこから、ない場合はNCI(National Cancer Institute)から転記しています。
・専門的な記載を一般の方がわかるよう記載していますが、当社の認識が誤っていることがありますので、必ず実際の公開情報を確かめてください。
・実施医療機関は明記できませんが、実際の公開情報に明記されている場合があります。
・主な参加条件には記載された基準以外にも多くの基準があります。

臨床試験(治験)とは

・当サイトは積極的に日本で実施されている臨床試験情報(治験)を紹介していますが、臨床試験は効果や安全性を確認することが主たる目的となる場合が多く、確立されている治療法を示しているものではありません。参加を検討する際には、臨床試験のリスクとベネフィットをよく理解してください。宜しければ、「もっと知ってほしい薬の開発と臨床試験のこと」をご参照ください。
・その他、「臨床試験記載のルールについて」をご確認ください。

作成:可知 健太

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