・MGMT非メチル化膠芽腫患者が対象の第2相試験
・PARP阻害薬Veliparib+放射線療法+temozolomideの有効性・安全性を検証
・6ヶ月無増悪生存率は現在の標準治療と同等で、忍容性も問題なかった
2019年5月31日から6月4日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2019)にて、MGMT非メチル化(uMGMT)膠芽腫(GBM)患者に対するPARP阻害薬であるVeliparib+放射線療法(RT)+temozolomideの有効性、安全性を検証した第2相のVERTU試験の結果がThe University Of SydneyのMustafa Khasraw氏らにより公表された。
VERTU試験とは、MGMT非メチル化(uMGMT)膠芽腫(GBM)患者に対して治療A(放射線療法+temozolomide 75mg/m2/日後の28日を1サイクルとして1~5日目にtemozolomide 150~200mg/m2を6コース)を投与する群、または治療B(放射線療法+1日2回Veliparib 200mg後の28日を1サイクルとして1~5日目にtemozolomide 150~200mg/m2+1~7日目に1日2回Veliparib 40mgを6コース)を投与する群に1対2の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として6ヶ月無増悪生存率(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、安全性などを検証した非比較性オープンラベルランダム化の第2相試験である。
本試験が実施された背景として、MGMT非メチル化(uMGMT)膠芽腫(GBM)患者ではtemozolomideの効果がわずかである可能性が示唆されている。また、PARP阻害薬であるVeliparibは脳への透過性がよく、塩基除去修復経路を阻害することでtemozolomide増感作用を有する可能性がある。以上の背景より本治療の有効性、安全性が検証された。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。
年齢中央値
治療A群=62歳
治療B群=60歳
性別
治療A群=男性68%、女性32%
治療B群=男性70%、女性30%
ECOG Performance Status
治療A群=スコア0 66%、スコア1 32%、スコア2 2%
治療B群=スコア0 65%、スコア1 31%、スコア2 4%
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。フォローアップ期間中央値25.8ヶ月、死亡イベント91件時点における主要評価項目である6ヶ月無増悪生存率(PFS)は治療A群34%(95%信頼区間:20~48%)に対して治療B群46%(95%信頼区間:36~57%)。無増悪生存期間(PFS)中央値は治療A群4.2ヶ月(95%信頼区間:2.5~6.0ヶ月)に対して治療B群5.7ヶ月(95%信頼区間:4.1~6.6ヶ月)、治療B群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを20%減少(HR:0.80,95%信頼区間:0.55~1.18)した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3/4の有害事象(AE)は治療A群で血小板減少8%、けいれん発作5%、高血糖5%、下痢5%に対して治療Bで血小板減少16%、好中球減少12%、けいれん発作11%を示した。
以上のVERTU試験の結果よりMustafa Khasraw氏らは以下のように結論を述べている。”MGMT非メチル化(uMGMT)膠芽腫(GBM)患者に対するPARP阻害薬であるVeliparib+放射線療法(RT)+temozolomideは、忍容性も問題なく、現在の標準治療と6ヶ月無増悪生存率(PFS)は同等でした。”