・未治療の無症候性慢性リンパ球性白血病患者が対象の第3相試験
・イムブルビカ単剤療法の有効性・安全性を検証
・プラセボ群と比較して、無再発生存期間、無増悪生存期間、次の治療までの期間を改善
2019年6月13日から16日までオランダ・アムステルダムで開催された欧州血液学会(EHA)にて、未治療の無症候性慢性リンパ球性白血病(CLL)患者に対するBTK阻害薬であるイブルチニブ(商品名イムブルビカ;以下イムブルビカ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第3相のCLL12試験(NCT02863718)の結果がUniversity of Cologne, KölnのPetra Langerbeins氏らにより公表された。
CLL12試験とは、未治療の無症候性慢性リンパ球性白血病(CLL)患者に対して1日1回イムブルビカ420mg単剤療法を投与する群(N=185人)、またはプラセボを投与する群(N=178人)に1対1の割合で無作為化に振り分け、主要評価項目として無再発生存期間(EFS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、次の治療までの期間(TTNT)を比較検証した二重盲検下の第3相試験である。
本試験が実施された背景として、無症候性慢性リンパ球性白血病(CLL)患者に対する治療の臨床的ベネフィットは現在のところ示されていない。BTK阻害薬であるイムブルビカ単剤療法は、進行性または再発慢性リンパ球性白血病(CLL)患者に対して有用性が確認されている。以上の背景より、無症候性慢性リンパ球性白血病(CLL)患者に対するBTK阻害薬イムブルビカ単剤療法の有用性が本試験により検証された。
本試験の結果、主要評価項目である無再発生存期間(EFS)中央値はイムブルビカ群未到達に対してプラセボ群47.8ヶ月、イムブルビカ群で再発または死亡(EFS)のリスクを75%統計学的有意に改善した(ハザード比:0.25,95%信頼区間:0.14-0.43,P<0.0001)。
副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はイムブルビカ群未到達に対してプラセボ群14.8ヶ月、イムブルビカ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを82%改善した(ハザード比:0.18,95%信頼区間:0.12-0.27)。また、次の治療までの期間(TTNT)もプラセボ群に比べてイムブルビカ群で89%改善した(ハザード比:0.21,95%信頼区間:0.11-0.39)。
一方の安全性として、全グレードの有害事象(AE)発症率はイムブルビカ群82.2に対してプラセボ群84.8%、グレード3以上の有害事象(AE)発症率はイムブルビカ群43.3に対してプラセボ群38.7%、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった。また、最も多くの患者で確認された重篤な有害事象(SAE)は感染症がイムブルビカ群11.4%に対してプラセボ群11.8%、悪性新生物がイムブルビカ群5.9%に対してプラセボ群10.7%、心疾患がイムブルビカ群8.6%に対してプラセボ群6.7%を示した。
以上のCLL12試験の結果よりPetra Langerbeins氏らは以下のように結論を述べている。”未治療の無症候性慢性リンパ球性白血病患者に対するBTK阻害薬イムブルビカ療法は、プラセボ療法に比べて無再発生存期間(EFS)、無増悪生存期間(PFS)、次の治療までの期間(TTNT)を改善し、忍容性も問題がありませんでした。”