・未治療の70歳以下の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫患者を対象とした第3相試験
・イムブルビカ+リツキサン併用療法の有効性・安全性を検証
・病勢進行または死亡のリスクを65%統計学的有意に改善した
2019年8月1日、医学誌『The New England Journal of Medicine 』にて未治療の70歳以下の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)患者に対するBTK阻害薬であるイブルチニブ(商品名イムブルビカ;以下イムブルビカ)+リツキシマブ(商品名リツキサン;以下リツキサン)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相試験(NCT02048813)(opens in new tab)の結果がMayo ClinicのTait D. Shanafelt氏らにより公表された。
本試験が実施された背景として、未治療の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)患者に対するイムブルビカ単剤療法の有効性は、クロラムブシル単剤療法に比べて優越性があることが第3相試験にて示されている。しかしながら、化学免疫療法に比べて時のイムブルビカ単剤療法の有効性は限らている。以上の背景より、化学免疫療法に対するイムブルビカ+リツキサン併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。
年齢中央値
イムブルビカ+リツキサン群=56.7歳
化学免疫療法群=56.7歳
性別
イムブルビカ+リツキサン=男性66.7%
化学免疫療法群=男性68.6%
遺伝子変異ステータス
イムブルビカ+リツキサン群=17p13del 0.6%、11q22.3del 22.0%、Trisomy12 19.8%、13qdel 34.2%
化学免疫療法群=17p13del 0%、11q22.3del 22.3%、Trisomy12 15.4%、13qdel 33.1%
IGHV遺伝子変異ステータス
イムブルビカ+リツキサン群=変異型25.0%
化学免疫療法群=変異型38.3%
以上の背景を有する患者に対する本試験のフォローアップ期間中央値33.6ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である3年無増悪生存率(PFS)はイムブルビカ+リツキサン併用群89.4%に対して化学免疫療法群72.9%、イムブルビカ+リツキサン併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを65%統計学的有意に改善した(ハザード比:0.35,95%信頼区間:0.22-0.56,P<0.001)。
副次評価項目である3年全生存率(OS)はイムブルビカ+リツキサン併用群98.8%に対して化学免疫療法群91.5%、イムブルビカ+リツキサン併用群で死亡(OS)のリスクを83%統計学的有意に改善した(ハザード比:0.17,95%信頼区間:0.05-0.54,P<0.001)。客観的奏効率(ORR)はイムブルビカ+リツキサン併用群95.8%(95%信頼区間:93.1%-97.6%)に対して化学免疫療法群81.1%(95%信頼区間:74.5%-86.6%)を示した。
一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はイムブルビカ+リツキサン併用群80.1%に対して化学免疫療法群79.7%を示した。最も多くの患者で確認されたグレード3の血液関連の治療関連有害事象(TRAE)はイムブルビカ+リツキサン併用群でリンパ球数減少21.9%、白血球増加症17.3%、好中球減少症10.8%に対して化学免疫療法群でリンパ球数減少27.2%、好中球減少症22.2%、白血球数減少22.2%、貧血10.8%を示した。また、最も多くの患者で確認されたグレード3の非血液関連の治療関連有害事象(TRAE)はイムブルビカ+リツキサン併用群で高血圧18.5%に対して化学免疫療法群で発熱性好中球減少症13.3%を示した。
以上の第3相試験の結果よりTait D. Shanafelt氏らは以下のように結論を述べている。”未治療の70歳以下の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)患者に対するBTK阻害薬イムブルビカ+リツキサン併用療法は、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を統計学的有意に改善しました。”