皆さん、こんにちは。オンコロの可知です。
本日は「バーチャル治験、もとい分散型治験(DCT)」について語らせてもらいます。
専門的な話ですが、興味がある方はご参照ください。
今週の24日(日)から26日(火)まで、第18回DIA 日本年会2021というコンベンションが行われました。
DIAとは?
DIA Japanのホームページには以下のように記されています。
「DIAとは、医薬品、医療機器、再生医療製品をはじめとする医療用製品の研究開発、ライフサイクルマネジメントにおけるイノベーションの実現をサポートするために教育活動および規制当局・企業・アカデミア・患者さんとの間の立場を超えた情報交換やディスカッションの場を提供するグローバルな非営利団体です。」
私の理解では「臨床開発手法等を協議するための世界最大のコンベンション」であり、米国で行われるDIAでは様々な最先端の手法が協議されています。
そのDIAの日本ローカル版が第18回DIA 日本年会2021というわけです。
私は、その中の「Global Oncology Development – オンコロジー開発のゲームチェンジャーを目指して」というセッションにて「がん領域におけるDCT海外事例」という発表をしました。
DCTとはDecentralized Clinical Trialの略称です。
Decentralized Clinical Trialは分散型臨床試験になり、「バーチャル治験」といわれることもあります。
要するに、医療機関に行かなくても治験に参加できるようにする概念であり、例えば遠隔診療システム、電子患者日誌などのIT技術を駆使したり、患者さんのご自宅に治験専門看護師等が伺って治験薬投与や採血を行ったりする手法です。これらは広がりつつあります。
現在は350程度の臨床試験が何かしらのDCT手法を取り入れており、市場は年5~6%成長しているという、ここ数年で急成長している市場でもあります。
なお、DCTのうち25%はがん分野といわれており、今回のDIAにてその事例を発表させていただきました(当社は10程度のグローバルDCTベンダーと業務提携(のような)契約しているため、日本一情報が入りやすい状況にいると思っています)。
では、どのような手法があるかというと、おおよそ以下のような形です。
・電子的同意を導入して、治験参加同意を遠隔的に行う(eConsent)
・患者さんの主治医とも契約して治験を実施する(Satellite Site , Bring Your Own Investigator)
・遠隔診療システムを使用してフォローアップを行う(Telemedicine)
・電子患者日誌を駆使して日々の体調を入力する(ePRO)
・在宅に看護師等が伺い、治験薬投与や治験のための検査を行う(Home Nursing)
このように、様々な手法が使用されますが、日本のがん領域の試験においてこれらが必要なのか?これはまだわかりません。
上記には、導入しようとしているものもありますが、被験者さんの安全面をどのように担保するかが課題だと思います。
さて、今回はさわりだけを説明させていただきましたが、そもそもDCTが浸透している背景には「患者中心」という概念があり、より患者さんが参加しやすい治験方法を考えた結果生まれたのです。
たしかに、これによって例えば北海道の方が東京でしか実施していない治験に参加できるのであれば、今まで距離的なバリアで参加できなかったという方が減るかもしれません。
日本のがん領域についてDCTが必要なのかはオンコロでも調査したことがないため、近いうちに調査すべき事項かなと思っております。
その時は皆様の力を借りることになりますので、ご協力いただけますと幸いです。
可知 健太