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「がん」を治せる病気に ー中島ナオさんの挑戦ー

目次

未来を手繰り寄せるプロジェクト

日本において、死亡原因の第一位のがんは、ふたりにひとりが罹患する病気といわれていますが、がんの研究は日々進歩し、「いつかは治すことができる病」ともいわれています。

ならば、その未来を、一秒でも一分でも早く、現実へと近づきたい。

その想いからワールドキャンサーデーである2月4日、デザイナーであり乳がんサバイバーでもある中島ナオさんを代表とするプロジェクトが始動しました。

魅力的な研究が進む「治療研究」への寄付を!

アメリカでは、最低でも年間5,000億円のがん関連予算が、使われています。(*1)

また、多くのがん患者に治療を提供するため、2016年から始まったCancer Moonshotプロジェクトでは、7年で1,800億円を投資しています。

寄付文化が根付いている背景もあり、北米50以上の放送局やケーブルネットワークがコマーシャル無しで2年毎に放映する、資金調達でがん研究を支援する番組、「Stand Up to Cancer」では、昨年1時間の放映で視聴者からの寄付1億2400万ドルが集まりました。

日本では、がんの研究予算は年間200億円前後という現状があります(*2)。2018年のがん関連薬剤の臨床試験の数は、アメリカが6,842件に対し、日本では338件にとどまりました。また、海外で承認されている127種類の薬剤が、日本ではまだ保険収載されていません。(*3)

街中から「C=Cancer」を消してみよう

中島さんらが立ち上げたプロジェクト、delete Cは、簡単な仕組みです。この小さなアクションが「がん」を抱えながら生活されている人、その方を大切に想う人、世界中のがんを恐れる人たちにとって、大きな希望となることを目的としています。

“Cancer”(がん)の”C”を街中から消して、その商品やサービスを買うことで、売上の一部が寄付になります。

Cancerの頭文字 C を失くすという行為により、「がんを諦めない社会」を象徴的に体現します。

企業も個人もあらゆる人が参加することで、すべての「がん患者」の方々が希望に満ちた社会の実現にむけて始動できます。

2月4日のプロジェクト発表会での参加者が身近にある「C」を消した言葉を出し合い、ポストイットに掲示する試み

探しても見つからなかった希望を作る

中島さんは、2年前に転移診断されてから、週1回の抗がん剤投薬をずっと続けています。

「いつかはわからないけれど、必ずがんが勝ってしまう」薬が2年も効き続けている今の状況は、「喜ぶことかもしれないけれど、あとどれだけ持ってくれるだろう」という現実を再認識することにもなると感じています。

奇跡を起こすならば、終わりが来る奇跡ではなく、続く奇跡がいい-。
「諦められている」と感じることが多くても「諦めたくない」と、数ケ月先を目一杯描き、希望を作りたいと動き続けていました。

「ここには、希望がある。」

いつかは治せる未来があるならば、それを待っているのではなく、動いて、動いて、その未来に少しでも早く近づきたい。

一日でも早く「がん」を治せる病気に。
がん治療の研究を少しでも早く進め、治療方法を1つでも多く増やしてきたい。
それが中島さんの描く未来です。

「delete C」delete cancer project サイト

delete Cでは、患者さんが受けられる治療を増やすために、集まったお金を、治療の有効性を調べる研究(治験)を加速させること、専門の医師を増やす活動を支援することに配分されます。


中島ナオさんプロフィール

1982年生まれ
大学卒業後、空間デザイナーとしてメーカーに勤務後、教育系NPOへ転職。
2014年31歳の時に乳がんが発覚。これを機に東京学芸大学大学院を受験し合格。
2016年34歳の時に多臓器への再発転移発覚。
2017年同大学院 美術教育専攻終了。教員免許(美術)取得。
同年12月ナオカケル株式会社を設立。

(*1)NCI Budget and Appropiations
(*2)平成30年度 医療分野の研究開発関連予算のポイント
(*3)国立がん研究センター「国内で薬事法未承認。適応外である医薬品について」2018年12月21日時点

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