米国臨床腫瘍学会に参加していますオンコロの前原です。ASCO2018 2日目速報版レポートとなります。
目次
転移性乳がんにおけるCDK4阻害剤の統合解析の結果 #1024
乳がんセッションより1つを報告。
サブグループ解析結果では、一貫してCDK阻害剤の有効性が示された。内訳は以下の通り。
・プロゲステロン陰性(患者解析人数は490名)
無増悪生存期間はCDK阻害剤で16.5ヶ月、プラセボは7.4ヶ月。9.1ヶ月の有意な差。50%病勢進行または死亡リスクが減少。
・小葉がん(患者解析人数は264人)
無増悪生存期間はCDK阻害剤で16.1ヶ月、プラセボは9.2ヶ月。6.9ヶ月の有意な差。42%病勢進行または死亡リスクが減少。
・骨のみ転移あり(患者解析数は875名)
無増悪生存期間はCDK阻害剤で27.9ヶ月、プラセボは15.5ヶ月。12.4ヶ月の有意な差。45%病勢進行または死亡リスクが減少。
・新たな転移がある症例(患者解析数は617名)
無増悪生存期間はCDK阻害剤で27.8ヶ月、プラセボは16.8ヶ月。11.0ヶ月の有意な差。41%病勢進行または死亡リスクが減少。
・12ヶ月以上の無病期間(患者解析数は929名)
無増悪生存期間はCDK阻害剤で25.7ヶ月、プラセボで14.2ヶ月。11.5ヶ月の有意な差。45%病勢進行または死亡リスクが減少。
慢性骨髄性白血病(CML) BFORE 試験 フェーズ3#7002
初発慢性期のCML患者対象に1次治療でボスチニブとイマチニブの有効性と安全性を比較。患者数は536名で1:1に割付け。ボスチニブ群266名、イマチニブ群268名。
結果は以下の通り。
・主要評価項目は12ヶ月時点での分子遺伝学的奏効率。
ボシュリフ群は47%、イマチニブ群で36%で有意にボシュリフ群で分子遺伝学的奏効率は高かった。
さらに同有効性の18ヶ月時点でボシュリフ群57%、イマチニブ群47%、24ヶ月時点でボシュリフ群61%、イマチニブ群51%であり、投与期間が長くなるほどボシュリフ群の同有効性は高くなっった。
安全性について治療関連の副作用発現率はボシュリフ群が16%、イマチニブ群で10%であり、ボシュリフ群で高い傾向が見られた。さらに副作用発現内容は血小板減少がボシュリフ群で高く(ボシュリフ群:14%、イマチニブ群6%)、好中球減少はイマチニブ群で高かった(ボシュリフ群:7%、イマチニブ群13%)。さらに肝機能障害(AST、ALT)と膵臓障害の1つであるリパーゼ上昇はボシュリフ群で高い傾向にあった。
初発慢性期CMLにおけるこの臨床試験は今後もフォローアップを継続し、その臨床データを示していくと結論づけられた。
詳細は後日報告します。