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家族・親戚が被害を受けたフォーデイズから考える、食品で「がんが治る」「病気がよくなる」

新規サービス『オンコレ』担当の筒井です。

先日「フォーデイズ」という清涼飲料水が「がんが治る」、「目が治る」といった効能を謳い販売したとして、フォーデイズ株式会社が一部業務停止命令になったことが話題になりました。

噂によると、ピーク時の年間売上高は429億となり、抗がん剤でも年間429億円以上売り上げているのは、オプジーボ(1039億円)、アバスチン(921億円)、リュープリン(486億円)の3剤のみであり、いかに荒稼ぎしたかがわかります。

このような出来事は年数回異なる案件が報道されており、いつも悲しい気持ちになります。しかし、今回は私の家族や親戚も被害者の一人であり、業界にいるものとして自責の念にかられました。被害にあったのは10年ほど前なのですが、体験記として記事にしていきます。

目次

1つの奇跡から始まった!

私の親戚(A子)は10年前イギリスに駐在し、日本人交流会で女性B子さんと出会いました。B子さんは他のヨーロッパ諸国に旦那さんと駐在していたそうですが、ロンドンに遊びに来る機会が多く、A子と日本人交流会で親しくなったそうです。親しくなるにつれ、B子さんは親戚の家に何泊か泊まるようになり、家族ぐるみの付き合いとなりました。

そんなある日、B子さんが親戚の家に泊まっていると、いきなりぎっくり腰になり、部屋から一歩も動けなくなりました。

A子もどうしようかと思っていた所、「フォーデイズが腰に効くから飲みたい」と言って自分のカバンから出し数日間飲み続けたようです。そうすると瞬く間に腰は良くなり、問題なく歩行できるまでになりました。

A子は「奇跡のようだ」と感じ、B子さんからも購入を勧められたそうです。

この人が言うならという確信

A子はその場でフォーデイズを買うことを決意しました。

実は、A子の夫はニューヨークで著名な日本人接骨院に通っていたことがあり、そこのスタッフから腰痛にフォーデイズが効くと勧められました。スタッフは「有名芸能人も愛用している」とも話しており、A子は購入は検討していました。

さらに追い打ちをかけるように、B子さんは大手企業のヨーロッパ支店長をしており、「それくらい社会的地位が高い人がおすすめしてくれた」というのも買った動機だったようです。

自身の不調を回復できれば

A子は継続的にフォーデイズを買い出し、親戚名義でイギリスに輸送してもらうよりも日本在住者から買ったほうが割引になるというアドバイスを受け、私の家族名義でこのドリンクを買いイギリスに届けてることになりました。私の家族も合わせて購入すると割引になることから買いだしたそうです。

家族も自己免疫疾患を患っており、少しでも改善すればと思い購入していたそうです。

ただ家族は、効果がないことから購入はやめたそうです。

積極的な勧誘に恐怖

家族の分の購入はやめてからも親戚への郵送のためドリンクを買い続けていました。そんな中、B子さんからの紹介というC子さんが突然私の家にやってきました。(B子さんは九州在住で、私の実家は関西)

遠方からはるばる勧誘しにやってきて「このドリンクは、免疫力をあげてどんな病気にも効く。一緒に販売すれば、ハワイ旅行にもいける」などと言って勧誘してきたそうです。

なんとかその場は断って帰っていただいたのですが、後日また勧誘に来られたようで非常に恐怖を感じたそうです。
ただ、B子さんは盲目的にこのドリンクを信じていたようで、その後もアプローチが続いたと言います。

お金がなくなり、継続購入を断念

B子さんは数年に渡りドリンクを購入していましたが、日本へ本帰国が決まり継続的に買うお金がなくなったことで購入をやめたそうです。

もしずっと駐在していたら、このニュースがあるまで購入していたのかもしれません。

これは今回の事件の一例でしかありませんが、「食品で病気が治る」と考える前に一度読んで冷静に考えていただきたいと思い記事にしました。

社会的地位の人の勧めや奇跡を信じるのではなく、客観的なエビデンスや専門医に相談して、病気と向き合っていかないといけないと強く感じました。

(文:筒井 葵)

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