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11月9日開催『胃がんキャラバン 2019 in 松山』 セミナーレポート

2019年11月9日、松山市プログレッソイベントルームパークにて開催した胃がんキャラバン in 松山は、当初、広報に難航しましたが、地元の患者会である愛媛がんサポート おれんじの会、そして、講師である四国がんセンター消化器内科医長の仁科智裕先生も周知にご協力くださり、会場は満席となりました。

当日、会場には31名 の方にご参加いただき、無事に終了いたしました。

司会は、おれんじの会理事長 松本陽子さんにお願いし、セミナーの趣意、そして会場での諸注意も丁寧にご説明いただき、心地の良い進行ができました。
受付をおれんじの会の会員の方が助けてくださったことも大きな安心につながりました。

目次

仁科先生のご講演

 『後悔しない選択のために~胃がんのことを知ろう~』と銘打たれたご講演は、

・なぜ、がんになるのか
・がんを予防するためにできること(胃がんではピロリ菌、胃がん以外にも言及)
・診断とその人にとって最適の治療を決めていく治療方針
・外科的治療の種類と、対応する病状
・胃がんの薬物療法の種類
・胃がんの薬物療法ガイドライン
・今後、治療が目指していること
緩和ケア生活の質予後を改善させる治療
・医師以外にあなたを支える医療者(チーム医療)

上記のことを、診察室での患者と主治医の対話をもとにしたスライドの進行で、わかりやすく丁寧にご説明くださいました。

また、質疑応答では、術後補助化学療法の期間への不安、手術後の栄養に関する不安が寄せられ、予め作成してくださっていたスライドを使用し、比較試験の結果や実例を示しながら回答してくださいました。

患者家族の不安、疑問は、自分にとってこの道は最適なのかに集約される

胃がんキャラバンを開催していく中で、患者家族の不安は全国共通であることを感じています。

・自分が受けている治療の根拠
・再発への不安
抗がん剤以外にできることはないのか
・手術、薬物療法の副作用でさがっているQOLをあげるためにできること
・緩和医療は終末期の医療であるという誤解

各地で開催してきたセミナーで、講師の先生方は、一般の方にもわかりやすい言葉で、図を示し、実例を挙げながら、時間をかけてお話してくださっています。

今回の仁科先生のご講義は、学校で取り組まれている『がん教育』にも適しているのではないかと思うわかりやすいお話でした。

また、今回、司会進行を地元の患者会であるおれんじの会の松本陽子さんにお願いいたしましたが、それが地域でのピアサポートを知っていただく大切な発信にもなったと感じています。

相談支援室、セカンドオピニオンを知っていても、それを実際に利用することに抵抗を感じている人が少なくないことを感じていますので、地域の患者会とともにセミナーを開催していくことは、さらに患者家族、そして、これからがんになるかもしれない方へ力になる発信であることを感じました。

今後に向けて

対面だからこそ、伝わるものがあると思いますので、全国キャラバンは必要だと思っており、来年度も継続していきたいと思っております。

課題としては、セミナーの広報、参加者を募ることにあります。今回の松山のように、講師の先生、地域の患者会が広報にお力添えをいただいた事例、そして、佐久、富山のように、病院が共催として胃がんキャラバンを開催してくださった事例では、多くの方にセミナー開催の情報が届いたのみならず、これからがんになるかもしれない方の参加が多くありました。

来年以降、キャラバンを継続していくうえで、広報、情報発信、そして、開催費用の面からも、病院に共催していただくことや、地域の患者会と共催していただくことを視野に考えていきたいと思っております。

情報に惑わされてしまうのは、今は自分には関係ないと思っている人、告知直後の場面が多いと実感しています。

患者市民参画の大切さも言われている今、『これからがんになるかもしれない人』が参加する重要性も視野に、今後の開催計画について考えたいと思っております。


 

次回、12月14日(土)は、広島での開催です。
3月のキックオフから続けてきた東京以外での開催の最終開催地となります。講師は、県立広島病院 臨床腫瘍科 主任部長 篠崎勝則先生、司会は、認定NPO法人乳がん患者友の会きらら・理事長 NPO法人広島がんサポート・副理事長である中川圭さんにお願いしております。

引き続き、発信が力になるよう、取り組んでまいります。よろしくお願いいたします。

12月14日の胃がんキャラバン in 広島のお申し込みはコチラ

文:認定NPO法人希望の会 理事長 轟 浩美(編集;中島 香織)

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