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原発不明がんに関するQ&A

目次

Q1.原発不明がんかどうか気になった時、相談できるところはあるか?

Q.医師から「肺に異常があるが、どうも肺がんではない。何のがんかわからない」「原発不明がんとして組織を採取して検査をしたけれども、何のがんか分からない。治療が開始できない」と言われました。原発不明がんかどうか気になった時、相談できるところはありますか?

A. 原発不明がんを専門にしている医療機関への受診をお勧めします。病理診断にしても、セカンドオピニオンで原発不明がんを専門にしている医療機関の病理医を訪ねて、もう一度組織を見てもらうことをお勧めします。各都道府県のがん拠点病院の相談支援センターに、原発不明がんを専門にしている医療機関をご相談ください。また、国立がん研究センターの希少がんセンターの設置している「希少がんホットライン」で相談してみることもできます。

【希少がんホットライン】
・電話番号:03-3543-5601(相談無料。通話料がかかります)
・時間:平日9時から16時
・相談内容の秘密は厳守。(正確な情報提供のために個人情報を聞かれることもありますが、答えなくても相談は受けられます)
・希少がんセンターへの初診やセカンドオピニオンの相談にも対応。
https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/hotline/index.html

(希少がんセンターで配布されているカード)

Q2.不明がんの治療どこでも同じ治療が受けられるようになってきているのか?

Q.不明がんの治療も、全国で均てん化(どこでも同じ治療が受けられる)が進んでいるのでしょうか?

A. 治療の均てん化のために、ガイドラインも出ています(Q3参照)が、まだ腫瘍内科がすべての地域にあるわけではなく、均てん化は実現していません。国立がん研究センターでは、原発不明がんは乳腺腫瘍内科が担当しますが、通常は病院ごとに決められているでしょう。

Q3.患者や家族はどのように治療法や方針を決めていったらよいのか?

Q.医師も手探りの中で、患者や家族はどのように治療法や方針を決めていったらよいのでしょうか?

A. 基本は、各種検査の上で原発不明がんと診断された場合、特定の治療が想定される場合(2割)は特定の治療を行い、特定の治療が想定できない場合(8割)だと、現在最も効くとされる薬の組み合わせを検討します(こちら)。ただ治療の方針を立てるには、患者の病状、全身状態(元気かどうか)、希望などが加味されます。

症状の緩和も一つの治療目標になりますから、抗がん剤の治療によって本当にそれが達成できるのか、といった点も考慮しながら相談して決定されます。国内では、日本臨床腫瘍学会が今年、原発不明がんのガイドライン改訂版(案)を公開し、意見を募集中です。また、米国のガイドライン(NCCN)も日本語訳されてインターネットで公開されていますので、それらも一つの指針になるでしょう(ただし、米国との制度の違いから、国内ではNCCNの指針に沿った治療の多くが適応外処方となります。Q7参照)

Q4.特定の治療法が選択された場合、効果の判断や治療法の変更は通常のがんと同じなのか?

Q.原発不明がんに対し、特定の治療法が選択された場合、効果の判断や治療法の変更は通常のがんと同じなのでしょうか?

A. 治療法の継続や変更の判断には、効き目が見られているか、また、副作用が耐えられる範囲に収まっているか、を考慮します。基本的に、その考え方はどのがんであっても同じです。ただし、原発不明がんとしての治療ということと理解しています。

Q5.原発不明がんは再発した場合、また抗がん剤の組み合わせを変えて行うのか?

Q.原発不明がんは薬物療法が中心とのことですが、いったん収まり再発した場合は、また抗がん剤の組み合わせを変えて行うのでしょうか?

A. はい。おそらく局所を越えて広がっている状況で、薬物療法でいったんは小さくなっても、またがんの勢いが盛り返してくることはあります。その際は、これまで使っていなかった抗がん剤の組み合わせで治療が試みられることは、多くあります。

Q6.今後、治験でもっと多くの原発不明がん患者を対象にデータを集めることはないのか?

Q.プレシジョン・メディシンは研究段階ですが、そもそも分母となる患者さんが少ないように見えます。今後、治験でもっと多くの原発不明がん患者を対象にデータを集めることはないのでしょうか?

A. 臨床試験は治療の効き目や副作用を見るのが主な目的なので、体力的にも、データが取れる余裕のある人を対象にしています。病気が進行して全身状態の悪い人はなかなか参加できないのが現状です。原発不明がんでは、非常に急に病気が進行して具合が悪くなる人も少なくなく、すべての原発不明がん患者が臨床試験に参加するのは難しいかもしれません。

ただ、希少がんでは治験がほとんどないのに対し、原発不明がんは幸いプレシジョン・メディシンとして、ゲノム情報や遺伝子情報等を見て「何か分かったらそれを使ってみましょう」といったかたちで臨床研究が始まっている点に期待がかかります。

Q7. 原発不明癌では、保険収載は進まないのか?

Q.原発不明癌では、多くの治療が適応外処方となると聞きました。保険収載は進まないのでしょうか?

A. たしかにNCCNガイドラインに記載されている薬物療法の選択肢は、いずれも国内では保険承認されておらず、適応外処方となります。そもそも我が国の保険診療上、「原発不明がん」という保険病名は存在しません。ただ、がん対策基本法の改正で「希少がん」という言葉が入り、実質的に原発不明がんも含むと考えられますので、いずれ解決していくことが期待されます。それにはエビデンスの確立が必須となります。

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