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腎細胞がん(じんさいぼうがん)

腎臓に出来るがんには 腎細胞がんと腎盂(じんう)尿管がんなどがあり、多くは成人に発症します。

目次

疫学

腎細胞がんに罹患者数は全がん腫のおよそ2%とされており、泌尿器科のがんでは前立腺がん、尿路上皮がんについて3番目に多いがんです。
男女の割合は2:1で男性に多いとされています。

腎がんの特徴

単独の発生原因だけではなく いくつかの原因が複合的に作用して、発症しているようです。危険因子として肥満と喫煙があげられます このほかにも高血圧、及び降圧剤の服用などがあげられますが、確立はしていません。
腎細胞がんは片方の腎臓に出来ることが多く 両方の腎臓に同時に出来ることは希です(1%程度と言われています)進行すると 静脈の中に腫瘍が広がり(腫瘍塞栓といいます)心臓まで達することもあります。また、肺、骨、肝臓などに転移しやすく 脳への転移することも有ります。

検査

腎細胞がんは大きくなると 尿に血が混じったり脇腹に痛みや腫れを生じたり発熱や体重減少が現れますが それまでは殆ど症状が有りません。最近では、検診などで症状のない腎がん が発見される機会が多くを占めるようになっています。

腎がんが疑われると、超音波検査やCTなどの画像検査を行います。腎細胞がんに特有な腫瘍マーカーは存在しません。

治療方針

病期と治療法 病期によって治療法を選択します。

手術

腎臓内にとどまっているⅠ~Ⅲ期では、手術療法が原則(根治的腎摘除術)となります。近年では内視鏡を腹腔内に挿入して行う手術(腹腔鏡下手術)が行われることも多く 病期Ⅰ~Ⅱ期に対する標準術式の一つとなっています。

また、早期にがんが発見されることも多くなり がんと共に腎臓の一部のみを摘出する手術(腎部分切除術)も行われています。特にがんの直径が4cm以下では根治的腎摘除術と変わらないとの結果が出ているようです。

薬物療法

Ⅳ期の治療の基本は全身治療である薬物療法となります。しかし他の悪性腫瘍と異なり初診時に遠隔転移を認める場合でも 腎摘除術を行われることがあります。これはインターフェロン治療を中心としていた時代に海外の臨床試験の腎摘除術と薬物療法と 薬物療法のみの比較試験の結果、腎摘除術と薬物療法が生存率で優れていたことによるものです。

通常の抗がん剤では 腎がんには有用とはされておらず 免疫療法(インターフェロンなどのサイトカイン療法)が行われて来ました。近年は腎細胞がんの発がんや進行のメカニズムが分かってきましたので 腎細胞がんの治療は 分子標的薬が主流となってきました。なお、サイトカイン療法も治療の選択肢として考慮されております。現在 日本においてはソラフェニブ、スニチニブ、エベロリムス、テムシロリムス、パゾパニブなどが保険適応となっており MSKCC(メモリアル スローン ケタリング キャンサー センター:アメリカ合衆国の有名ながんセンター)のリスク分類に基づいて決定される事が多いとされています。(用語辞典 MSKCCリスク分類を参照してください)

放射線療法

腎細胞がんでは、放射線治療の効果があまり良くないとされており腎臓にがんがあっても治療としては行われる事は少ないようですが、転移があった場合の症状の緩和や転移巣の治療のために照射をおこなう場合があります。

参考
入門臨床腫瘍学 改訂第二版

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