去る1月22日に秋葉原・ジーニアスホールにて日医大武蔵小杉病院教授 勝俣範之先生をお招きして『ONCOLO Meets Cancer Experts(OMCE)第一回:がん情報のウソ・ホント』が開催されました。
当日の様子を精巣がん体験者の佐藤崇宏がレポートします。 当日は参加者40名以上、全体を通して活気づいたセミナーとなりました。 今回はセミナーを前後半に分け、前半は勝俣先生による講義、後半は柳澤昭浩氏と小林美幸氏を加え、ディスカッション形式の質疑応答が行われました。
また、ご来場いただきました皆さまより頂戴した参加費のうち35,500円を、小児がん ・ AYA世代(15歳~29歳)のがんを支援する 樋口宗孝 がん研究基金 に寄付致しました。
<樋口宗孝がん研究基金>
http://www.m2cc.co.jp/mhf4car/
目次
<参加者の構成比>
参加者は40名以上、うち、36名の方からご意見を頂きました。(回収率87.8%)。
<年代>
<参加者の立場>
<このセミナーに参加しようと思った理由>
その他の回答:
・たまたま上京する用事があったので。
・本日、定期検診が終了してFacebookを開いたらこのセミナーの情報が出てきました。何かのご縁を感じ、飛び込み参加させていただきました。
・抗がん剤の効能に興味があったから。
・がんの無治療、エセ医学を唱える人が嫌いなので!
・家族が肺がん患者のため。
・オンコロの活動に興味があった。
・患者家族なので医師サイドの生の声を聞きたい。
・がん医療が進歩し、患者さんの方が最新の知識を持っていたり、民間療法について聞かれるときうまく返答できないことも多く、新しい知見を得たいと思い参加しました。(こちらは看護師の方のコメントです)
<セミナーを知った媒体>
前半の勝俣先生による講義では信頼できるがん情報とは何か、エビデンス(=科学的根拠)に基づいた情報とはなにかということを切り口に、標準治療や緩和ケア、代替療法などの現状をご自身の経験と絡めてお話いただきました。
正しいがん情報を見ぬくためには情報のバイアス、つまりどのような目的をもって発信されている情報なのか判断し、またその情報のエビデンス(=科学的根拠)に基づいた情報であるかどうか精査することが重要であると解説していただきました。
インターネットの検索結果は上位にヒットする情報が信頼の置ける情報であるとは限りません。本も同様に、売上の高い本が正しい情報に基づいて書かれた本であるとは言えません。むしろその逆、エビデンスのない本ほど売上が伸びるということすらあるのです。
そのような情報が身近に氾濫する現状において正しい選択をするにはどうすればいいのか。勝俣先生は先述のバイアスとエビデンスを判断することに加え、標準治療の情報を得ることを勧めます。標準治療とは臨床試験や研究を通じて最善の治療であると認められたものを指します。標準治療は各診療ガイドラインを利用することで知ることができます。標準治療を知る、情報にどのようなバイアスがかかっているか見極める、そして情報のエビデンスレベルをつける。この3つのポイントを抑えることで可能な限り信頼の置ける情報、治療を選択することができるようになります。
講義後は会場からの質問に柳澤氏と小林氏を交えたディスカッション形式でお答えいただきました。質問は講義に関することからご家族の治療についてなど多岐に渡り、それらに対して丁寧に、時にはこの場でしか聞くことのできないような先生の本音も飛び出し、会場は熱気に包まれていました。
<セミナーの感想>
<感想の一部をご紹介!>
・「がんが治った、消えた」との講演は「気づき」や「感謝」等精神論が多いのですが、実際に現場でがん治療にあたっていらっしゃる医師の立場でのお話がとても参考になりました。
・具体的な内容で不安が軽減された。
・オフレコの話なども聞けて、すごく納得できることが多かったです。わかりやすくてとても参考になりました。
・歯に衣着せぬわかりやすいお話でとても勉強になりました。
・勝俣先生のFBをフォローしており、一度お話をお聞きしたかったのでとても良い機会でした。話も分かりやすく聞きやすかったです。
・本を読んでから参加しました。もっと勝俣先生の話をみんなに聞いてほしいです。
・日々、進歩していることが聞けたので。怪しいところは避けるようにします。
・講演内容はわかりやすく、Q&Aがよかった。
・何度か学会でご講演を聴講したことがあります。今回もとても分かりやすく勉強になりました。あすからの患者看護に活かしていきたいと思います。
・ディスカッションで多くの質問のやりとりが大変参考になった。
・ディスカッションのコーナー。勝俣先生と小林さん柳澤さんのコンビネーションがよくとても聞きやすかった。
・Q&A時間をたくさん割いてくださるのは大変ありがたいし有益だと思います。
・もっと長い時間で抗がん剤への誤解、緩和ケアへの誤解とそれぞれのテーマで深くお話いただきたかったです。(内容は素晴らしかったので、突っ込んで話を聞きたかったなという意味で)
・真剣に話を聞くと、質問を書けなかった。5分は短すぎる。
・時間が足りないのか講義がかけ足だった気がする。
編集後記
今回のセミナーの切り口となったがん情報というテーマ。私もがんかもしれないと気づいたときには、それが信頼の置けるがん情報なのか意識せずにインターネットを利用してがん情報を集めていました。
がん情報を集める必要に迫られているとき、常に冷静な判断ができる状況にあるとは限りません。冷静な判断を欠けば普段は気にも留めないような情報でも信じてしまう可能性があります。がん情報を集める前段階として、正しいがん情報を集める方法を学んでおくべきなのだと知りました。会場は質疑応答のときには笑いも頻発するような活発な雰囲気で、充実の90分間でした。エキスパートの方のホンネが聞ける貴重な機会なので、また第二回以降に期待したいと思います。
文章:オンコロ学生スタッフ 佐藤崇宏 >佐藤崇宏さんの体験談はコチラ
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