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乳がん 手術後薬剤治療後にカドサイラ+パージェタを使用する第3相試験(募集終了)

この試験は実施中ですが、日本での募集は終了しています。

目次

<一般的な説明>

試験概要

この試験は、HER2陽性の乳がん患者に対して、術後補助療法として抗がん性抗生物質であるアントラサイクリン系化学療法ドキソルビシンやエピルビシン)を行った後に行う、トラツズマブエムタンシン(商品名カドサイラ)とペルツズマブ(商品名パージェタ)の併用療法有効性安全性を評価する試験です。トラスツマブ+ペルツズマブ+タキサン系薬剤(トポテシンやハラヴェンなど)の併用療法を行います。

治験薬剤の説明

トラスツズマブ エムタンシン(カドサイラ)
トラスツズマブ エムタンシン(カドサイラ)は、抗体医薬品のトラスツズマブ(ハーセプチン)と化学療法剤エムタンシンが結合した薬剤です。乳がんのがん細胞の表面には、HER2と呼ばれるタンパク質が発現しており、このHER2により細胞の増殖が促進されます。トラスツズマブはがん細胞上のHER2に結合して、抗腫瘍効果を示します。2001年4月にがん細胞上にHER2が多く発現している転移性(転移してしまった)乳がんに対して承認され、現在、転移性乳がんに対する標準薬剤治療です。
◆ペルツズマブ(パージェタ)
ペルツズマブ(パージェタ)は、トラスツズマブと同じく、がん細胞上のHER2を標的とした薬剤ですが、若干異なりHER2とHER3が細胞膜上で結合することを阻害します。細胞増殖のシグナルは、HER2とHER3が複合することにより活性されるということがわかっており、この活性を阻害することができます。

主な参加条件等

この試験の対象となりうる方

  1. 18歳以上の方
  2. 非転移性で手術可能な原発性浸潤性乳がんと診断された方
  3. HER2陽性の乳がんの方
  4. 原発腫瘍のホルモン受容体の状態が確認されている方
  5. 乳房温存術、乳房切除術若しくは乳頭/皮膚温存乳房切除術より、適切に切除されている方
  6. pTNM分類(Union for International Cancer Control- American Joint Committee on Cancer [UICC/AJCC] 第7版)で下記のいずれかに当てはまる方
    – リンパ節転移陽性疾患(pN1以上)、T0以外のすべての腫瘍サイズ、及び、すべてのホルモン受容体発現状況
    – リンパ節転移陰性(pN0)で病理学的腫瘍サイズ>2.0cmと院内の標準的評価法で判定され、かつER・PR陰性が中央病理検査施設にて確認されている方。(同時性両側浸潤性疾患を有する患者は、両方の病変部位がHER2陽性である場合のみ適格です。)
  7. ランダム化参加時に乳がんの根治的手術から9週間以内の方
  8. パフォーマンスステータスが1以下の方

この試験の対象とならない方

  1. 浸潤性乳がんの既往歴がある方
  2. ランダム化前5年以内に乳がん以外の悪性腫瘍の既往歴のある方
  3. 現在診断されている乳がんに対する,すべての全身抗がん療法を受けたことのある方
  4. アントラサイクリン,タキサン又はHER2標的療法を用いた治療を受けたことのある方

臨床試験公開情報

JAPIC No : JapicCTI-142421(最終更新日2015/7/7)詳細はコチラ
ClinicalTrials.gov Identifier : NCT01966471 (最終更新日2015/10/1)詳細はコチラ

治験概要

手術可能なHER2陽性原発性乳癌患者を対象とした術後補助療法としてのアントラサイクリン化学療法後のタキサン + トラスツズマブ + ペルツズマブとトラスツズマブ エムタンシン + ペルツズマブを比較する多施設共同非盲検ランダム化第III相比較試験

対象がん種 原発性浸潤性乳がん
フェーズ P3
実施期間 2013年11月~2024年2月
実施国 日本、米国、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ボスニアヘルツェゴビナ、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、チェコ、エルサルバドル、フランス、ジョージア、ドイツ、グアテマラ、香港、ハンガリー、イスラエル、イタリア、韓国、メキシコ、ノルウェー、パナマ、ペルー、フィリピン、ポーランド、ルーマニア、ロシア、シンガポール、スペイン、スウェーデン、スイス、台湾、タイ、ウクライナ、イギリス、ウルグアイ
目標症例 2500
状況 募集中
手法 ランダム化、オープンラベル
被験薬名 PRO132365(一般名:トラツズマブ エムタンシン、 商品名:—–)、(一般名:ペルツズマブ、 商品名:パージェタ)、(一般名:トラスツマブ、 商品名:ハーセプチン)
種類 抗体薬物複合体、HER二量体化阻害ヒト化モノクローナル抗体
投与経路 経静脈投与

<専門的な説明>

試験概要

HER2陽性の乳癌患者を対象として、術後補助療法としてのアントラサイクリン化学療法後のトラスツズマブ エムタンシンとペルツズマブの併用療法の有効性と安全性を、トラスツズマブとペルツズマブとタキサン系薬剤の併用療法と比較する。(JAPIC-CTI)
This two-arm, randomized, open-label, multicenter study will evaluate the efficacy and safety of Kadcyla (trastuzumab emtansine, also known as T-DM1) in combination with Perjeta (pertuzumab) versus Herceptin (trastuzumab) in combination with Perjeta and a taxane as adjuvant therapy in patients with HER2-positive primary invasive breast cancer. Following surgery and anthracycline-based chemotherapy, patients will receive either Kadcyla 3.6 mg/kg and Perjeta 420 mg intravenously (iv) every three weeks or Herceptin 6 mg/kg iv every three weeks in combination with Perjeta and a taxane. Anticipated time on HER2 targeted study treatment is up to 1 year.(Clinical trials.gov)

治験薬剤の説明

・トラスツズマブ エムタンシン

T-DM1 は、抗体医薬品であるトラスツズマブ(ハーセプチン®)と化学療法剤であるエムタンシ ンが安定したリンカーにより結合しています。T-DM1 は HER2 を標的とするように設計されて おり、トラスツズマブによる HER2 シグナル伝達の阻害と抗体依存性細胞障害作用とともに、化 学療法剤エムタンシンを直接 HER2 陽性のがん細胞の内部に送達させ、これらのがん細胞を破壊 します。

(中外製薬HPより:http://www.chugai-pharm.co.jp/hc/ss/downloads/130129jT-DM1.pdf?blobheader=application%2Fpdf&blobheadername1=content-disposition&blobheadervalue1=inline%3Bfilename%3D130129jT-DM1.pdf&blobwhere=1396858140824&ssbinary=true

・ペルツズマブ

ペルツズマブは、世界でいち早く個別化医療に取り組んだロシュ社の乳がん治療薬トラスツズマブと同様、HER2をターゲットとしたヒト化モノクローナル抗体です。HER2陽性乳がんの細胞表面にはHER2がたくさん存在し、増殖シグナルを細胞内に送っています。トラスツズマブはHER2に結合してその働きを抑制します。HER2は、HER3などとペアを作って増殖シグナルを送りますが、ペルツズマブがHER2に結合するとHER3などとのペアの形成ができなくなります。さらに、HER2と結合したペルツズマブやトラスツズマブは免疫細胞(マクロファージやNK細胞)を呼び寄せ、抗体依存性細胞傷害(antibody dependent cellular cytotoxicity)活性によりがん細胞を攻撃し死滅させます。
(中外製薬HPより:http://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20120525150000.html

注意

・試験タイトルに英語記載がある場合、JAPIC等の日本語公開情報に掲載がないことを意味します。
・試験概要の「専門的な説明」は、JAPICやUMINに情報がある場合はそこから、ない場合はClinidcaltrials.govから転記しています。
・薬剤の「専門的な説明」は、開発企業に情報がある場合はそこから、ない場合はNCI(National Cancer Institute)から転記しています。
・専門的な記載を一般の方がわかるよう記載していますが、当社の認識が誤っていることがありますので、必ず実際の公開情報を確かめてください。
・実施医療機関は明記できませんが、実際の公開情報に明記されている場合があります。
・主な参加条件には記載された基準以外にも多くの基準があります。

初回更新:川村 千恵

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