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進行性または転移性尿路上皮がんに対するテセントリク、3年長期投与でも忍容性を示す

2018年2月8日、医学誌『JAMA Oncology』にて進行性または転移性尿路上皮がん患者に対するアテゾリズマブ(商品名テセントリク;以下テセントリク)単剤療法安全性を検証した第I相試験(NCT01375842)の結果がYale Cancer Center・Daniel P. Petrylak氏らにより公表された。

本試験は、局所進行性または転移性固形がん患者に対して3週間に1回の投与間隔でテセントリク0.01mg/kgから20mg/kgを病勢進行または治療継続困難な有害事象(AE)が発症するまで投与継続し、主要評価項目として有害事象発症率(AE)、副次評価項目として客観的奏効率ORR)、奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)などを検証したオープンラベルの第I相試験である。なお、本発表では、ECOG Performance Statusスコア0または1の転移性尿路上皮がん患者(N=94人)を対象にした結果である。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値66歳(36-89歳)、性別は男性76%(N=72人)。治療歴は3次治療としてテセントリクの治療を受けた患者割合47%(N=44人)である。なお、免疫細胞PD-L1発現率については、 免疫染色VENTANA SP142 assayにより測定されている。

本試験のフォローアップ期間中央値37.8ヶ月(0.7-44.4ヶ月)時点における結果、主要評価項目である有害事象発症率(AE)は下記の通りである。グレード3または4の有害事象(AE)を発症した患者は9%(N=9人)、有害事象(AE)を発症した期間は大半の患者がテセントリク治療を開始した年であった。なお、重篤な有害事象(SAE)を発症した患者は0%(N=0人)、治療関連有害事象(TRAE)により死亡した患者も0%(N=0人)であった。なお、治療関連有害事象(TRAE)により治療継続が困難になった患者は1%(N=1人)であった。

副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は26%(95%信頼区間:18-36%)、奏効期間中央値(DOR)22.1ヶ月(2.8-41.0ヶ月)、無増悪生存期間(PFS)中央値は2.7ヶ月(95%信頼区間:1.4-4.3ヶ月)、全生存期間(OS)中央値は10.1ヶ月(95%信頼区間:7.3-17.0ヶ月)、3年全生存率(OS)は27%(95%信頼区間:17%-36%)を示した。

また、PD-L1発現率別の結果は下記の通りである。奏効率(RR)はPD-L1発現率5%以上の患者で40%(N=40人,95%信頼区間:26%-55%)、PD-L1発現率5%未満の患者で11%(N=44人,95%信頼区間:4%-25%)、全生存期間(OS)中央値はPD-L1発現率5%以上の患者で14.6ヶ月(95%信頼区間:9.0-未到達)、PD-L1発現率5%未満の患者で7.6ヶ月(95%信頼区間:4.7-13.9ヶ月)を示した。

以上の第I相試験の結果より、Daniel P. Petrylak氏は以下のように結論を述べている。”長期フォローアップ試験の結果、テセントリクは複数の治療歴のある進行性または転移性尿路上皮がん患者さんに対して忍容性を示し、かつ持続的な臨床的有効性を示しました。”

Atezolizumab (MPDL3280A) Monotherapy for Patients With Metastatic Urothelial Cancer Long-term Outcomes From a Phase 1 Study(JAMA Oncol. Published online February 8, 2018. doi:10.1001/jamaoncol.2017.5440)

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