7月24日、ノバルティス(スイス)は、米食品医薬品局(FDA)が手術や放射線治療が適応とならない進行基底細胞がんに対するソニデジブ(sonidegib;治験薬コードLDE225)の使用を承認したと発表しました。
ソニデジブは、SMO(スモ)阻害薬となり、ヘッジホッグシグナル伝達を抑制します。この伝達は「成体幹細胞(最終分化していない細胞)」が「がん幹細胞(がん細胞に分化してしまう細胞)」に変化に関与し、特に基底細胞がんの発生や維持のメカニズム深くかかわると言われています。
今回の承認のもととなった臨床試験データでは、ソニデジブを使用した患者66人の奏効率(腫瘍が一定以上小さくなった割合)は58%であり、うち完全奏効(がんが完全に消失した)割合は5%(3人)でした。完全奏功しなくとも、82%は評価時点でも奏効状態が持続(最長18.6カ月持続)しているとのことです。
ただし、報告によるとソニデジブは胎児毒性があり、また、横紋筋融解症などの筋骨格系の副作用が生じる可能性もあり、68%に筋骨格系に異常が発生しています。うちグレード3~4(中等度~重度程度)は9%とのこと。
基底細胞がんは、日本人に最も多い皮膚がんであり、毎年10万人あたり5人以上が罹患すると推定されています。しかしながら、悪性度は比較的低いがんであり、手術にて完全に切除できれば治癒することが極めて多いです。しかしながら、発見が遅く、転移などにより、手術や放射線治療では切除しきれない場合の治療法がありません。米国ではSMO阻害薬であるビスモデジブ(vismodegib)が2012年に承認され、この度ソニデジブが承認されました。日本では未承認です。
記事:可知 健太
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