8月8日(土)、秋葉原UDXにて「AKIBA Cancer Forum2015」が開催されました。
このフォーラムは、日々進歩するがん医療情報や現在問題となっている医療のテーマを取り上げ、患者さんやその家族が自らがんを「知り」、「学び」、「集い」、そして勇気と希望を持つことを目的としたものです。
第2回目となる今回は来場者数1,414名と、去年の約1.5倍もの参加者数で、入場制限が設けられるブースも。常時多くの人が行き交う様子からは、がん医療分野への人々の強い関心が伺えました。
いわば、「患者・家族・市民のための学会」とも呼べるような本フォーラム。各分野・診療科からがん医療のスペシャリストが集まり、その内容は最新の治療法から医療費や家計、在宅医療、栄養等と幅広く、がんに関連した映画の上映や手術体験、ヨガなど、様々な来場者が楽しめるプログラムが目白押しでした。実際に、会場にはご家族で来られている方も見受けられ、全体的に明るく親しみやすい雰囲気が印象的でした。今日は2つの講演を取り上げ、ご紹介したいと思います。
◇「がんと在宅医療」佐々木淳先生(医療法人社団悠翔会理事長)
・住み慣れた空間には「力」がある。痛みや不快感は院内で緊張状態にあると感じやすく、在宅では和らぐ場合がある。
・「治療をやめたら人生が終わる」わけではない。病院医療と在宅医療の違いは、治療を最優先するのか、生活を最優先するのかというもの。在宅でも必要な治療は受けることができる。
・がんと非がん疾患では経過が違うので、がんで在宅医療を希望する場合は早めに担当医に相談するなどの準備をすることが望ましい。
◇「NPO Power Up Session」鈴木美穂さん(民間放送局社会部記者/マギーズ東京プロジェクト共同代表/乳がん経験者)
・罹患当時、メディアで紹介されるがん患者にはモザイクがかけられており、生きているがん患者の姿が見えないことが何よりも不安だった。
・イギリスで国際会議に参加したときに、がんを生き延びたことに対して”Congratulations!”と言われた。日本でも、がんについてのそういう文化のようなものを変えていきたいと思った。
どちらも、佐々木淳先生の「たとえがんは治らなくても、人生は選択できる。」という言葉や、鈴木美穂さんの「死を見据えながら今をもっと輝かせる」という考えが心に深く残った講演でした。
年齢や病気の有無に関わらず、がん医療を通して自分の生き方や人生設計を見つめ直すことのできる、「AKIBA Cancer Forum」。これからも多くの分野を巻き込んで、その勢いを増すことでしょう。
オンコロ 川村千恵