8月26日、小野薬品工業株式会社は、新規プロテアソーム阻害剤「カルフィルゾミブ」について、再発又は難治性の多発性骨髄腫の治療薬として国内製造販売承認申請したと発表しました。
【カルフィゾミブについて】
カルフィルゾミブはプロテアソーム活性を阻害することにより、骨髄腫細胞の機能的細胞死を誘導する薬剤となります。
カルフィルゾミブは、米国においては2012 年7 月に、ボルテゾミブ(商品名ベルケイド)および免疫調節薬を含む少なくとも2 回以上の前治療歴を有したが、疾患進行を示した多発性骨髄腫を効能・効果とした単剤治療としてすでに販売されています。また、2015 年7月にはレナリドミド(商品名レブラミド)およびデキサメタゾン(商品名デカドロンなど)との併用療法について、1~3 回の前治療歴を有する多発性骨髄腫の治療を適応として承認を取得しています。さらに、欧州においては、2015 年1 月に承認申請を行い、優先審査となっています。日本では、2015 年8 月20 日に、厚生労働省より、「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を予定される効能・効果として希少疾病用医薬品に指定されています。
【多発性骨髄腫について】
多発性骨髄腫は骨髄中にある形質細胞の異常により引き起こされる血液がんで、日本国内における総患者数は約14,000 人と報告されています。
現在、多発性骨髄腫に対する治療法は複数存在しますが、寛解と再発を繰り返し進行する、もしくはどの治療法も有効でなくなる難治性の病状に移行する場合も少なくありません。また、長期的な治療では副作用や合併症が報告されており、治療に難渋する場合があります。これらのことから、多発性骨髄腫に対する新たな治療薬の開発が期待されています。
記事:可知 健太
×